吐いた息が白くなる冬に突入
もうすぐ世界的に有名なあの日がやってくる
そう、誰しもが幸福というプレゼンとを貰うために――

―――とりあず変態からは逃げるのだ

「く、ん、なぁあああああああああああ!!!」
「待ってよ影さん!!僕はただ、影さんにサンタコスを着て欲しいだけなんだよ!!」

後からすごい勢いで追ってくる現の手には世に言うサンタコス
普通のサンタのではなく、明らかにミニスカの女物で、そんでもって何故か青いテープもあった気がする

勿論オレはなんとなくの勢いでサンタコス見る前に逃げ出したけどな!!
オレにとってはこの季節、見る限り赤ばっかで精神的苦痛を強いられてるようなもんなんだよ!!
本当に腹立つ!!吐き気がする!!

「ごめんね影さんこんな僕でも影さんが気絶しちゃうほど赤が嫌いだって知ってるよ。でも好きなことにサンタコスして貰って『プレゼントは私』とか言われたいでしょ!?」
「てめーはその煩悩を黒いサンタにでも持ってかれろ!!」
「せめてテープは青にしたから!!」
「気を使うところが違くねーか!?」

そう思うんだったらサンタコスとか煩悩まみれもなしにしてほしいんだけど!?
こいつ本当にバカだよ。天才と馬鹿は紙一重を体現してるよ

ここまで逃げ回っていてなんだが、そろそろ体力も限界に近い
ただでさえここ最近はケンカとかもなかったから体力は落ち続ける一方だし……いや、男子の成長期に負けてんのか?
どちらにしろ、このままじゃ死ぬ!!

「――うえっ」
「影さーん……あれ?影さん?急に走るの早くしないでよー!!」

急に上からの引っ張られ、間違いじゃなかったら窓から教室の中に入れられた
突然のことで戦闘態勢を取ろうとしたら手足を封じられ、口がふさがれる。叫べない!これじゃあまだ近くにいる変態が呼べないじゃんか!!

現はオレに気付くことなく声を上げながら遠さがっていく
お前オレのSTKなら気付けよ!!本当になんなんだよあいつ!!パーティーメンバーとしても使えないって終わってますが!?

てか誰だよオレのこと拘束してんの
動きにくいけど……これなら鳩尾に入れられるな

「あのさぁ、無言で人の鳩尾を狙うとか頭湧いてなーい?」
「境希現はもういないな……。化物のことになると容赦しなくなるのが興味深いが厄介だ」
「俺はこの違法者に協力を要請するのが気に喰わない」
「……げ、マジかよ」

鳩尾への肘を止められ、拘束がそれにより取れたので見たらそこにいたのはめんどくさい面子
ニコニコと胡散臭い笑みを浮かべている遊也先輩に、普段なら理科準備室から出て来ないはかき。この二人ならなんとなく関係性が見えるが、個人的に相性が合わないだろうと思う義清がいるのが違和感を生む
……なんでいんだよ。なにこのわかりそうでわからないメンバー。選択したの誰?クソゲーの予感しかしねーよ?

「何の用だよ」
「そう威嚇しないでよ。僕と君の仲でしょ〜」
「……」
「表情は変わっていないのに心底嫌そうな顔に見えるな。どんな仕組みだ?」
「朝霧影、先輩に向かってなんだその態度は?反省部屋に連行するぞ」
「くすくす、君みたいなバケモノってほんっとにサイコーだよ!!」
「帰ります。さよなら」
「あは、だいじょーぶ。ちゃんと呼んだ理由はあるから」

ちっ。逃げようとしたのにクソ先輩に学ラン捕まえられたや
どうせ逃げても先輩と義清は追ってそうだから諦めてそのメンバーに加わる。もう追いかけっこで体力はゼロに近いんだ

さっさと終わればもう家に帰って寝たい
クリスマスはそれに限る
嫌な赤色をみなくて済むんだから

「実はさぁ、『黒いサンタ』の噂知ってる?」
「都市伝説ですね。はいはい」
「そっちのほうじゃなく、連続殺人犯なりかけの方だ」
「…帰っていいですか?」
「研究員、裏社会、警察、ここまでそろったのだから当然表の最強も必要でしょ?」

それはここ最近ある話で、なんでもこんな幸せのクリスマスの時期に黒い服を着た殺人犯が出たらしい
そして無差別に一人一人殺して行ってるらしく、連続殺人犯と言われ始めた
この時期もあって、呼び名は黒いサンタらしい

わざわざこの三人がそろって話し合いって思ったけど本当に不愉快なことだ
けどこれに拒否権がないのをオレは知っている
第一に、先輩といい、はかきといい、義清といい、人の話を聞かない奴らなんだから

「……捜索を手伝えと?」
「そうだ」

はかきの当然と言わんばかりの目と先輩のあくどい笑みが一番腹立った
義清はもう視線で人殺せるんじゃね?って思うほどうざかった






prev/next


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -