今年もやってきたバレンタインデー
この日は理事長から直々の許可が下りてチョコのやり取りは風紀委員の人でも黙認することになっている
それほどまで大切なイベントなのかって思うけど、自分の気持ちを伝えるというのなら本人たちにとっては大切な事なんだろう

ついでに美形揃いのS組には専用のボックスが設置されてそこにチョコを入れることになっている
それぞれに積もっているチョコに溜まる義清の規制できないつらさはこの日限定の事だったりもする

ブツブツ言う義清はカトちゃんとはかきに何か言われて渋々チョコを箱につめている
人の気持ちを無下にするのはいけないからな。それにしても去年より多い……こりゃお返しを考えなくちゃ

ふと現の方を見るとオレよりもたくさんあった
さすが美形。変態の性格を抜けばモテるんだよな

「なんでそんなにモテる美形なのに変態なんだろう……」
「え、あっ違うよ!?これは目の保養に捧げものをっていう「なにそれ」とにかく僕が一番欲しいのは影さんので、影さんが一番大好きだから!!」
「チョコ詰め終わるかなぁ?」


現の言うことを全スルーして箱にチョコを入れていく
現のすることに一々反応してたら時間がなくなる。今日は早く帰って溜めていたアニメが見たいんだ!!

「ふ〜ん、バケモノでもチョコは貰えるんだね〜」
「誰が化け物だ。……オレとしては先輩たちが意外に多いことに驚きです」
「まぁ顔はいいし?」

ドヤ顔された。殴りてぇ……
そう、意外なことにあの変人狂人で滅多に学校に来ない先輩たちがオレよりも多く貰っているのだ
いや別に競ってないけどなんていうの?意外過ぎて驚き?

てかそれいうとはかきもなんだよな。あいつ室内にこもりっきりなのになんで知ってる人多いの?
この学校よくワカンナイ

「それよりバケモノ〜」
「なんですか?」
「先輩たちにチョコはないの?」
「……マジすか」

ニヤニヤ笑いながら手の平を出してきた先輩に顔を顰めたオレは悪くない
だってこの先輩たちにチョコとか……絶対いらないって言うと思った
見ると雪先輩と勇士先輩もこっちをみてきてた

ため息をついてバッグの中を漁る
そして一粒サイズの袋をそれぞれ先輩たちに投げ渡した

「え〜、小さいでよ〜」
「文句言うなら返してください」
「……赤ワイン」
「なんで酒と食べようとしてんだよ!?」
「バケモノの料理でもおいしいから好きなんだよね〜」
「バケモノじゃないっていってるんですけど?」

全く。貰って感謝の一言もないのかこの先輩たちは
呆れてチョコを詰める作業に戻ろうとしたら肩を掴まれた。急なことに固まっていると勢いよく体の向きを変えられる

正面には、笑ってるのに目が笑ってない現
……あ

「影さん。なんで先輩たちにチョコあげたの?なんで僕にくれないの?僕さっき言ったよね?一番欲しいの影さんのチョコだって。なんで?なんで僕にくれないの?もしかして忘れてきたのかな?それはないよね。だって影さんは真面目だし今日は余裕を持って起きてたし先輩たちのチョコ準備する時間が「うるせー!!」……だって」
「あーもー!!後でもいいだろ!?今は作業中だし、一緒にされたらお前がなくすかもだし、なに!?どんだけオレ信用ないの!?」
「……え、それって……」
「ほらよ!!これていいか!?」

勢いよく現に差し出したのはちゃんとラッピングした箱
中身は手作りのチョコだ。市販でもいいけど作ったほうが個人的に気持ちが一番伝わると思うから

「……あ、と……」
「友チョコだからな。勘違いするなよ」
「……か、影さん、あの、ごめん、その……影さんありがとう」
「おう」
「……影さん、愛し「影ー!!私のは!?私のもちょーだい!!」ちょっと僕のセリフ遮らないで!?」
「はい、これがカトちゃんの。んで義清にハッカー」
「箱詰め中に寄越せ。効率が悪い」
「何の物質で作ったんだ?」
「ただのチョコだよ!」

ったく。本当に面倒な奴ら
その後は先輩たちから量が違うと抗議を受けて予備を渡し、何故か期間限定チョコパフェを食べに行くことになった


「ホワイトデーには僕を「私を上げるから!!」」
「変態はいらないかなぁ……あ、卵欲しい」







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