語り部:雪




星さん、こんばんは!!
……驚いていますね?なぜ多忙な私がここにいるのかと
ふふーん。当然答えて差し上げましょう!!実は遊也さんから連絡がありまして、面白そうなので私はこうして仕事を無断で抜け出してきたのです!!
……に、睨まないでくださいよぉ。大丈夫です!!皆さん優しい人なので私が声を出せば許してくれます
え?それが最早ホラーだなんて……まさか。芸能界はこんなの、ホラーになんて入りませんよ
立ち話も何なので、私たち芸能人の行きつけのお店へと参りましょう

新聞部の手伝いで怪談探しとは、まさに青春ですね!!
……話を急かすなんて、星君。それは短気は損気というものですよ。もちろん今すぐお話します!!
あ、その前に話の結末を言ってもよろしいですか?最終的には一人増えていただけの話なんですが……ネタばらし?いえいえ、オチがわかりきっていれば少しは安心するではないですか。そういう配慮ですよ

私はこれでもアイドルであり歌手ですから、他の方とも番組を持つことがあるのですよ。芸能界にて成功すればそれは当然です。
それでして、何の番組でしたかね……?今流行りのアイドルたちが揃って何かする企画でした。当然私も呼ばれましたので出ました。
一人一人、スタッフさんからアイドルの方々にあいさつしていきます。これも芸能人の役目ですね!!
顔は大体ですが覚えて、それでは少しだけリハをすることになりました。やらせではありませんよ?席やどんな放送をするかと軽くですが打ち合わせをするのです

少しだけ予定の時間よりリハが長引き、休憩が入りました。
その時、私に憧れているのだと話しかけてきた少しだけ年下の子がですね、「あの人だれですか?」と聞いてきたのです
その子の目線を辿りますが、そこにいたのはスタッフさんですね。きっと緊張してて思い出せなかったのでしょうとスタッフの方だと答えました
その子もそう言われてわかってくれまして、すぐ頷きました

…ちょっと不思議だったのですが、その子はどうやら記憶力が少しばかり低いみたいでして、マネージャーさんの方にも注意を受けてたみたいです
それが売れ物になるのですから、いい武器ですね!!……え?毒?何のことですか?
そんなちょっとドジっ子ちゃんは思い出せない人を見ると私に聞いてくるのですよね
鬱陶しいなんて思いませんよ?私だったおしゃべりは好きなのです!!

でも、ですよ
何回目の時でしたっけ?もうすぐで収録が終盤って時にその子が言ったんです
「○○ちゃんはどこか行ったんですか?」って
その子が言った子は最初からいない、誰も知らない子の名前でした。だから誰もがいないって言うのですけどその子はいたって一点張り。なんだか嫌な雰囲気になってきたので監督さんにお願いして今までのを確認してもらったんです。すると一人だけ、確かに見たことない子が映り込んでるんですよね。誰も知らない、女の子が
でもスタジオを見回してもいないので、きっと別のスタジオの子が見学してたのが映ったのかもしれないって周りの方々が言ってました
写り込んだところは何とか修正するって

その時ですね
私の隣りにいたそのドジっ子ちゃんが私にだけに聞こえるような音量で言ったんです
「いるよ」って……
少し驚いてその子を見たらその子、笑ってたんです。その顔付きと言いますか、今日何回も見たドジっ子ちゃんとは別人の顔に見えました
その後は何もなく収録が終わったんです。……そう、その子はもう誰にもあの子は誰と聞きませんでした

今その子はどうしているんでしょうか?ドジっ子でなくなったので新しいキャラでいきているのでしょうか?
どちらであろうと、その子はもうドジっ子ちゃんではありませんね

どうでしたか?一人増えていたんですよ。怖いですよね!
あ、マネージャーさんから呼ばれてました。それでは会計しましょう!!今日は特別に星君より大人の私がおごって……割り勘ですか?影ちゃんみたいですね〜
では……急いで仕事現場に戻らなくては!!




店から出て早々に走って行く雪さん
自分を隠しているようで隠していない走り方にはげんなりとした気分になってくる
クラスメイトが雪さんを可愛いと言うが、やっぱり理解はできない
……それにしても、一人増えたってそういうことか。でも、その子が消えちゃったんなら一人増えたとも言い難いけどね









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