語り部:遊也



やっほー、準バケモノ。……ちょっとちょっと、そんなに睨まなくてもいいんじゃな〜い?
悪かったってー。そんな早歩きしないでよ〜
うん?なんで僕がここにいるかって?それはねぇ、君の大っ嫌いな幼馴染ちゃんが面白いことしてるっていうからさぁ
怖い話集めてるんでしょ?知ってるよ僕。それにしても君が……ぷっ。ごめんごめん、つい滑稽で。君の面子のために僕も協力してあげるからすねないでwwwよwwww

……くすくす。少しは話を聞いてくれるようで嬉しいよ。自分が語り部っていうのも楽しいからね!!
なにがいいかなー……悩み過ぎっていっても、一応僕も視えるし?あ、あれがいいや。人に見せるなら過激なのはまた今度だね!

君ってさぁ、付喪神ってどっちだと思う?質問の意図がわからなさそうな顔だね
僕が聞いてるのは、付喪神ってのは妖怪か神様かってこと。あ、付喪神がわからないの?……そっちは知ってるんだね
で?答えは?……どっちでもない、ね。いやいや、君たちらしいよ。そう!中途半端を生きる君たちに!!
でもまぁ今はそれを置いて……僕自身はどっちでもないっていうよりどっちでもいいんだ。襲われても、僕好みの体型をした人の姿なら何とかた……ごめんって。そんな怖い顔で睨まないでよ

で、だ。前置きが随分長くなってしまったけどここからが本題ってことで
ずっと前、僕が僕の刀を有するようになってから不思議な夢を見るようになった。この僕でもあまり覚えてないんだけど、あれは悪夢っていうにはふさわしい夢だった気がするよ
跳ね起きたり、睡眠不足になんてのにはならなかった。だからこそ困っちゃうんだよね〜
人間は痛みで自分の体の状態を察するっていうのに、何もなかったから大変。そんな感じで、勇士曰く、その時期の僕の顔色は酷かったらしいよ?全然身に覚えがないけど!!

確か女性……かな?まな板だったから男かもしれない。どっちでもいいけど、和服を着てたね
その女性が出てきてっていう夢。もう大分前の事だから忘れたよ
その夢を見ると次の日は何かが壊れている。一体なにが壊れているのかはその時その時で違う
いやねぇ、それの何が嫌って?僕が壊したいものも壊すからだよ!!これは僕もまいったね!!つまんないもん!!

だから僕はある日、その夢の奴に言ったのさ
「嫌い」ってね
獲物を横取りばっかりして、楽しみを奪っていく奴を好きになるなんてないでしょ?でもまぁ、その後ちょっと大変だったかな
変な気配がして勢いよく横に転がったよ?あ、現実の話ね?起き上がって自分が寝てたところをみてあらビックリ♪

僕が寝ていたところに刀が刺さってたんだ

いやー、本当に驚いたよ。職業柄気配に敏感な僕が気付かなかったんだよ?隣の部屋で寝ている勇士でさえも!!
ふと襖をみたら字が書いてあった。真夜中で、灯りなんてないはずなのに何故かくっきりと見えたんだよね〜
『 ハ ナ レ ナ イ 』って。赤い字で、書いてあった

僕は天才だっから、すぐこれが刀のせいだってわかったわけ。最初に気付けなんて言わないでくれよ。確信がなかったんだもん
人間は誰だって危険になってから気付くもんだろ?くすくす

だから僕はその時から僕の愛刀に話しかけてあげてるのさ。獲物を横取りにされるのは困るかねぇ
昔みたいに勝手な事はしなくなったし、いやぁ、これで僕の刀の付喪神がスタイルいい神様だったらいいんだけどね〜
僕の話はこれで終わり。どう?付喪神ってどっちにしろ一種の感情が強すぎるモノだってわかったかな?

そういえば、君なんでこんなことしんてんの?……彼女とケンカした新聞部くんの代理ね〜。その原因って君だったりするんじゃない?……おおこわっ。冗談だって〜
僕は仕事があるからこれでバイバ〜イ
あ、後で勇士から連絡あげるからちゃんと読んであげてね♪




いつもの笑みであるいて行くキチガイさ……遊也さんは今日も刀を所持していたんだろう
そして、あの人だって視える人なんだから絶対わかってる
自分の肩に、夢の中に出てきたってモノが憑いていることに
なんなのかわからないソレが刀の付喪神で、それを気にしないで過ごす遊也さん
……余計な推理もするし、俺にとっては遊也さんのほうが怪談だと思った






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