私とあいつはお互いがお互いの隣りにいた
私の隣りはあいつので、あいつの隣りは私の

恋人とか親友とかそんなんじゃなくて、ただ……うーん、言い合わすのは難しいな
まぁなんだ。腐れ縁が続いてるってのが一番言いやすいんじゃないかな?


「あー最悪だ。降らないって思ったんだけどなぁ……」
「いや、降るって天気予報で言ってたろ。確認しろよ」
「テレビ見てる暇なんて俺にはないんだよ」

今日は生憎の大雨
なので洗濯物は内側に干して換気扇を回していたら急に玄関のドアが開いて、入ってきたのはびしょ濡れの海だった

うわーと思いながらタオルを渡す
濡れたまま入られて汚されたくないからな

海はちゃんとある程度拭いてから上がってきた
私はそれを見て風呂の湯を沸かす。風邪を引かれたら嫌だし
追い焚きボタンを押して戻ると、海が勝手にハンガーで上着を干して布団にくるまっていた
……うん

「勝手に人の使ってんじゃねーよ!!濡れんだろ!!」
「えー、寒いんだって」
「バスタオル羽織れ!!ココア作ってやるから布団はやめろ!!」
「レモンかりんがいい」
「注文すんな!!」

行儀が悪いが中指を立てて台所に向かう
ココアどこにしまったっけ……
水を沸かしながらココアを探す。最近買ってきたはずだからそう奥にはいってないはず

そう思って探しているとあった
ただし、それは予想外なことに高い棚の上
……なんで私はあそこに置いたんだ?

ちょっと背伸びをして何とかガラスケースは横にずらす
けれど肝心のココアの袋は少しの奥の方にあってか届かない。くっそ……指先さえ当たれば……!!
自分の背が高いことは知ってるから、それもあり粘る。すると、背後から自分以外の手が伸びてきてココアを取った

突然の事で思わず固まる
そんな私に後ろから声をかけられた

「お前、取れないなら台使うか俺を呼べよ。お前より身長あんだから」
「……あー、そのこと忘れてたわ」

海の声にホッとして、やっと振り返る
いや、だってねぇ?急に背後から手って驚くでしょ?

取ってくれた礼を海に言おうとして、また固まってしまった
海の上半身は、裸だったからだ

「……服着ろ!!」
「濡れてるのを着ろと!?」
「わかった!!バスタオルを巻け!!気色悪いもの見せんな!!」
「いや、お前なら見慣れてんだろ」
「なんで見たくない物を見せられなくちゃいけないんだよ!!慣れてるとかの問題じゃねぇ!!」

解決できることは解決する性質なんだよ!!
こんなに大声を出しても近所迷惑にならないよう大家さんが防音加工してくれてるおかげだなぁとしみじみ思ってる
こいつがいると何から何までツッコんでいないといけないから……はぁ

軽く返事をして台所から消えていく海を見送り、ココアの準備をする
……あ、礼言い忘れた
……ま、いっか





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