心残りはありますか? | ナノ


――眩しい――

それが目を開けたときに思ったことだった
いつぶりなのか全然わからない明るさは部屋の中にいるからだと知る
起き上がった目の前には知らない人がいた

「やっと起きたか。お前で最後だお寝坊」

知らない人はワタシに向かって何か投げてきた
特に危害がなさそうだから当たった。手で顔から離してよく見ると制服、学校の指定服で男物だった
……?

「ほらさっさと着替えて行くぞ。お前以外の奴らを待たせるな」

知らない人はそれだけ言って部屋の外に行く
ワタシは、オレは?どちらにしろ自分が着てたよくわからない服から投げられた服に着替えた

……ワタシは、オレは、ボクは……一人称が決まらない
性別も、わかんない。自分は、誰だっけ。
……まあいいや。いつか思い出すかも

部屋唯一のドアを開ければ壁にさっきの人が壁に寄りかかっていた
とても不機嫌そうな納得いかなそうな顔

「着替えたな。ついて来い」

さっさと行く人の後ろに付いて行く
壁のあちこちにはドアがあった。この構造……どこかと同じだ
どこだったっけ?……覚えてないなぁ

どこまで続いているのかわからないような廊下は唐突に終わりを告げる
そのように大き目なホールがあってその奥にはこれまた大きなドア……というより扉があった

「ここだ。さっさと入って開いてる席に座れ」

開けられた扉の向こうは―――

広々とした体育館……そうだ。体育館みたいな、それより大きな場所でたくさんの人がイスに座っていた
自分も座れて言われたから……空いた席に座ればいいのか
視線が集まってくる。そんなのに構わず、自分は真ん中の通路を歩いて一番前の列の席に座った

前には舞台みたいなのがあって、教壇……うん、教壇みたいなのがあった
そこには黒髪黒目黒い服の黒々とした男……男がいた
その男と、目が合った気がした

「最後の仲間がそろったところで、それじゃあ始めよう―――   死者の入学式を」

両端の口角を上げて
男は言ったのだった


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