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シャロside

救護室へと案内されていくナツメたちを見送り、俺はナツメが投げ飛ばした少女に近寄る
要から止められそうになったけれども、俺の顔を見て諦めてくれた。ありがとう、要

「大丈夫?ごめんね。俺がちゃんと見ていなかったせいで」
「……え?」

転んでいる少女と目が合う。起こすように差し出した手に彼女は手を伸ばさないで、俺の目を見ていた
……ちょっと違うかな?見ているのは俺の全身らしい

その視線に鬱陶しい感情はなくて、ただ俺の容姿を見ているに近い
それとも投げ飛ばされた衝撃で頭が回っていないのかもしれない

「俺の顔になにかついている?」
「え、あ、違うよ!その……」

少女の視線が俺の顔に向けられる
もっと言うと、俺の目を

見られねのは慣れているけど、彼女の視線の意味はよく解らない
僕を奇異や好奇心で見てくる奴らと違う、どちらかと言えば驚愕という視線。でも普通の驚きよりも何か違う気がする
不快じゃない、でも驚愕だけじゃない視線を受け入れて俺はなるべくいい笑顔を作る

「金色の目は珍しい?」
「!……やっぱり、金色なの?」
「黄色にしては明るすぎる、金色だよ。でも俺はモンスターとかじゃなくて普通の人だから安心してね?」
「……普通の、人?」
「うん」

俺が頷くと少女の目が落胆と絶望に染まった
なんだか訳ありな少女だ。どこか不幸そうなのも、そう見えるのは嘘じゃないんだと思う
でも、俺は深く踏み入れる気はない。だって、それは俺のファミリーに関係ないことだから

薄情だと言われても、仕方がない
俺が守るべきなのは俺の仲間だと思ってるし、そうしないと自分のファミリーが崩れてしまう
もう二度と、ファミリーを失わないためにも、あまり余計なことに突っ込む気はない

少女を掴み、無理矢理立たせる
あ、俺より小さい。こんな幼い子でもここで動いているんだ。すごいなぁ
さっきの戦闘能力もすごかったし、俺もあれぐらいの力が欲しかったや
そんなことを考えていると彼女から血の臭いがしてきた。ああ、千のせいで傷でもできてるのかも

「君も血の臭いがするよ。救護室に行ったほうがいいんじゃないかな?」
「わ、私は大丈夫!それよりさっきの人が……」
「ああ、大丈夫だよ。あれぐらいで、っていうかナツメは死なないから」
「死なない?す、すごいね。でも痕になるんじゃ……」
「違う違う。ナツメは死なない、不老不死の人なんだ」

これ言うと頭大丈夫?って思われるけどナツメも俺たちも隠してるわけじゃないしね
でも真実だとわかった人たちは警戒して恐れるから牽制にもなるから言っておいて損はない

そろそろ俺も合流しないといけないかな。ナツメ、お金のこと気にしていて上の空になってたし
要に声をかけようと振り返ると、何故か交渉相手のクロウさんを睨んでいた
クロウさんはニコニコ笑っているけどそこに流れる空気は大変良くない
……俺が少女と話している間に何があったんだろう。確認したいことはいくつもあるけど聞きたくないからスルーしようかな……てかしたい

この状態でナツメのとこに行ったらどうなるんだろう?
きっとナツメはため息を吐いて、眉間に寄る皺を伸ばすんだろうね。それでもいいかな?

シャロside end


  


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