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影side

今日もオレはついていなかった
帰り際に遊也先輩に連行されて……しかも肩に担がれて黒光りする車に無理矢理のせられて……
今日も今日とでオレの黒歴史が生まれていっている

遊也先輩に指示された神社に来て、境内から周りを見渡す
うーん、神社ってのには久しぶりに来たけど息苦しい。なんだろ?神聖な場所だから?
うんうん考えていると人の気配がした。振り向くと、階段を上がってくる二人の男女

「今日はありがとう……あ、こんにちは」
「……こんにちは」
「……」

女性の人は明るめで、男の人は少しだけ感じが悪い
怪しまれているのか睨まれててこっちも対応に困る。オレはそういうのが嫌いなんだけどなぁ

女性の人が男の人に何かいって宥めているけどオレはいい気分じゃない
早く先輩に言われたことをしようとして、女性の人が話しかけてきた

「君はどこの子?こんな遅くにここに来て、親御さんが心配してるかもしれないよ?」
「…………別に、オレは、えっと、学生だし……」
「学生?えっと……」

急に話しかけられてきたのと、親の事を言われて少しだけ狼狽える
幼く見えるのはいつものことだから気にしないけど、親のことを言われるのはあまりないからすごく挙動不審になってしまった
おかげで女性の、お姉さんは少し困ったような顔をした。わかります。この体格の人がもうすぐ日が暮れるとこにいるのはおかしいですよね

男の人の疑う目も強くなってきたけど兄さんに関してはなんもないからな
そんなんじゃ子供に好かれないぞ!!オレ子供じゃないけど!!

「うーん……どうしよ……」
「優、もうこの子供を迷子センターに送って行った方がいいんじゃないか?……警察はいろいろ面倒だし」
「でも……」

兄さんの意識と、お姉さんの意識がお互いにいって逸れる
この瞬間が一番いい。そう判断したと同時に、オレは兄さんの方に足払いを仕掛けた

けど兄さんには気付かれ、避けられる。別にいいけど
追撃として地面から飛び、回し蹴りをくらわす。オレの力だからそれなりに強いのに、蹴りを喰らった兄さんは一メートルだけしか後ろに下がらなかった
すごっ。普通の人なら何メートルもド派手にぶっ飛ぶのに

腕でガードしたところをさすりながら、オレを睨んでくる兄さん
お姉さんは駆け寄ろうとしてして、兄さんを見てる。だから、気付いていない

「リべ「はいゲーット〜。いや〜、すごいねそっちの人。バケモノの蹴り喰らって耐えてるとか最早人間卒業してるよ〜」わっ!?」
「ちょっと先輩、女性は痛めつけないんじゃないんですか?破るんならテメェもぶっ飛ばしますよ」
「だって暴れられたら困るんだもん」

もん、とかつけられても気持ち悪いっての
お姉さんには悪いけれど、後ろからお姉さんを捕まえている遊也先輩には何もできない
オレは学ラン裏に隠し持ってる鉄パイプを出して、兄さんに構える

「クソッ……!!」
「り、リベン君!!私は大丈夫だから!!」
「わあ、すごいねこのドラマのワンシーンのような瞬間。ってことは僕らはヒーローにやられる悪役ってとこかな?」
「悪役にもヒーロー役にもなりたくないんですけど。一緒にしないでください……あと、兄さんも持ってる銃をぶっ放ったら容赦なくこれで殴り掛かります」
「っ……」

こちとら毎日銃刀法違反してて全然常識のない奴ら相手にしてるんだ
微かにでも察しが作っての

兄さんと睨み合う後ろで、遊也先輩は笑ってる
あの人に使われるのとかすごく嫌なんだけど、遊也先輩がオレにお姉さんを助けたほうがいいよと胡散臭い笑みで言ってきたから今こんなことをしてるんだ
きっとオレは騙されている。そんなのわかってる
でも、オレには守んなくちゃいけない約束があるから、騙されてても今だけ遊也先輩の味方でいる

「くすくす、マフィアの一員がこんなところで女性とデートなんて……気ぃ抜きすぎじゃな〜い?」
「な、で……」
「君も災難だよねぇ。彼氏がまさか敵対してるっぽいマフィアの一員に狙われてたなんて」
「…………う」

小さい声だったけど、聞こえた
お姉さんが何か言ったのに耳を澄まして、何故か動揺した兄さんを見る

聞こえていなかった遊也先輩に言うためなのか、お姉さんは今度は大きく息を吸って
言った

「私はイケメンであるリベン君の彼女じゃない!!」




  


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