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最近、夢見が悪い
内容は暗いもの、シリアス系ばかり。最悪な夢は人が死ぬ終わり方をする
オレは目の前で誰かが死んでしまうのは嫌だ。そんなことがあったら現実だろうと夢だろうと助ける。そうしないとオレは嫌な気分になるのに、どうしてか夢じゃなにもできない
まるでワザと見せつけられているようだ

「それがさ、お前に変な話聞いてから何だけど」
『あーあ、俺の努力が台無しかよ』

電話の相手はオレの弟、星
星からはとある変な本のせいで起きたことを一部始終話されて愚痴られていたのだけど、どうもそれ以来さっき言った通りに夢見が悪い

原因はどう考えてもこいつだよなぁ……
なんだかまたこいつが言ってくるが、どうせ星の本音は自分が安全ならそれでいいってこと
別にそれに関して怒りとか呆れもない。安心はする。星に何かあったらオレも嫌だし

『姉貴は大丈夫だと思うけど言っておくよ?とりあえず逃げ切ってね』
「逃げるなんてオレの性分じゃない」
『遊也先輩と同じような人だと言っても?結構精神にも胃にもくるよ』
「ごめんなさい。逃げます」
『それが得策だね。でもまぁ、姉貴なら逃げ切れるよ。だって姉貴の体も魂も、もう先約済みの奴がいねし』
「え、なにその変態。マジ勘弁してくんね?オレのはオレのだから」

現やカトちゃんあたりのこと言われたのかわからないけどすごくイヤだ
オレのものはオレのもの。それを勝手に持って行かれるのは胸糞悪い

『……変態ねぇ。俺は変態っていうより異質だって思うけど』
「え、お前本当にどうした?」
『姉貴は覚えてないからいいよ。じゃあね』

一方的に切られた電話
オレなんか忘れてる?とりあえず思い出そうとしても無理だった



―――という会話したのは数日前
ガチねみぃ。クソがっ!睡眠時間削られまくってつらい!!
大体グロ番組見せられて普通にいられる奴いる?そんなもんだよ?ただでさえオレは赤がトラウマだから

もうさ、昨日は等々ベッドの上から飛び降りたよ
おかげで腰打ったし、睡眠不足祟って上手くケンカの最中に相手を一発でやれないし
睡眠欲、食欲、性欲は人間が生きていくうえでは必要になるらいし欲なんだぞ

「影さん、大丈夫?」
「……うるさい」
「……口数少なくなってきてるよ?本当に大丈夫?」

普段の変態部分を除けばただのイケメンにしかならない現に何故かイラつきが増す。ホント、こいつの変態とオレに向ける思いなくなればもっといいと思う
時計を見れば、もう下校時刻。気力だけで頑張ってるなぁ、ここんとこ

誰もいない静かな帰路で、強い睡魔が襲ってきた。また、だ
オレが一人になると狙ったかのように眠くなってくる。安心もなにもしていないのに。まるで、誘っているのかのように

「(寝たら、だめ……)」

なんでこんな時にいなんだよ変態野郎
いつもならオレが家につくまで付いて来てて監視してるだろ
家の事情だから仕方がないってわかってるけどさぁ

別にいいけどね
だってオレは最強だし

最強の―――



  


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