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「そんなの、ありえませんよ」

久しぶりに真剣な声にした気がする
それも仕方ないよ。だって、風来さんが言うことは、なんだか違うから

「好きだからこそ、僕はその人と一緒にいる。待っていて手に入るはずがない。一歩を踏み出さない限り、手に入らないのだから」

影さん

影さん

影さんは待っていたら来てくれる?

来ないよね

知ってる

「……あなたの好きな人も、私の知ってる彼女のようなものなのでしょうか」
「……さぁ?僕は貴方の好きな彼女を知りませんから」

ふと外を見ると雨が止んでいた
分厚い灰色の雲の間から太陽の光が漏れてる

これなら出歩けるかな
風来さんと優さんに礼をいい、境内に出る
所々にある水だまりが鏡のように光を反射してた

「現君」
「……優さん、雨宿りありがとうございます」
「どういたまして。……そんなに相談相手になれなくてごめんね」
「話を聞いてくれただけで嬉しかったですよ。……このお礼はしますね」

たった一か所だけで会った人たちは
それだけで複雑な人間関係を見せてくれた

ねぇ、影さん
僕は少しだけホッとしているよ

影さんにも僕にも
こんな複雑な恋愛が絡まなくてよかったって

けどその分、僕たちは内側が絡まってるのかな?
それでも……僕はその絡みを取りたい。無理だったら、切ってしまおうと思うぐらい
それぐらい影さんが好きなんだよ

大好きで、愛してるんだよ





  


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