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鬱陶しい雨が降る
僕の好きな彼女が嫌いだからってわけじゃないけど、僕も雨は嫌い
振ってくる雫が、どうしても彼女の涙に見えてくるから

会ったときからだとしても
見たことない彼女の涙に

「あー……最悪……」

本降りする前に近くの神社にかけ込めたものの、肝心の傘を持っていない自分に行動手段は限られてしまう
本当に、最悪だ。これじゃあ影さんが追えない!!

こっそり影さんの学ランに仕込んだ盗聴器は雨に当たったのかノイズしか流れて来ない
防水のにしておけば良かったけど……何故かそういうのってすぐばれるんだよなぁ。さすが僕の影さんと思うけど
そして発信器はこんな天気だからか上手く機能しない。電波悪すぎ……

こういうのもあるから雨は嫌い
ていうか専ら雨が嫌いな理由ってこういうことだせけどね!

「あの……」
「!」

イライラしてきた僕にかけられた声に見ると、巫女服をきた女性がいた
服はコスプレというわけではなく、仕事着というのがわかる。……ここの巫女の人?

「えっと……なにか?」
「多分ですが、この雨が止むのに時間がかかると思うんですけど……よければ中に入って待ちませんか?」

女性の言葉に裏はない
自惚れてるわけじゃなくて、僕はこれでも容姿が整っているから下心ありのお誘いはよく受ける。父親が大企業の社長だからね。寄ってくる奴は数えれないほどいる

けれど女性にそんなのは見えなくて
お人好しなほどの善意

「……それじゃあ、お言葉に甘えて」

こういうのは無下にしない
影さんなら絶対しないから

* * *

ここの巫女の仕事をしているという優さんは僕を事務室のところに招いてくれてお茶を出してくれた
それだけならまだいいけど、そこには男の人もいた。なんだか、睨まれているのは僕の気のせいかな?

「リベンくんにもお茶入れるね」
「……ああ」

男の人はリベンって名前か……外国の人かな?でなきゃ僕と同じハーフ、かな
僕は母似だから女顔ってよく言われるけど、男の人は……女顔ではないからいいなぁ

なんだか無言なのも息苦しいから話題を作ろう
僕は元々そういうのが得意だし。そうしないと生きれない世界の住人だし

「ここの神社は恋愛事とか叶いますか?」
「えっ……あー……どうだろう?……現君は誰か好きな人がいるの?」
「はい」

隠すことじゃないから笑顔で答える
好きで好きでたまらない。ずっとずっと傍にいて欲しい人はこれからも変わらない

「どんな子?……厚かましいだろうけど、よければ相談にのるよ?」
「いいんですか?」
「恋愛相談もお手の物だから。お姉さん」

そういって笑う優さんは魅力的なのに彼氏がいないなんてもったいない
……でもすぐ収まるか
チラリとリベンという男の人を見た

「僕の好きな人は……とても強いんです。僕なんかが守れないぐらい。だから時たますごい劣等を感じるんです」
「強い……」
「けれど身長が小さくて……外見から見たら小学生の男子って感じで……それなのに妙に学ラン姿が合うんです。身長が合わないから肩にかけてるだけの学ランなんて風になびいてる時なんて格好良くて」
「学ラン……」
「無表情なのもすごく好きなんです。時々猫とか見ると表情緩めるんですよ!…その子は表情が死んでると言ってそんな表情は感情の爆発がない限りは無駄だって言うけど……本当に、目元が優しくて……僕もそういう風に見られたい」
「無表情……」

何故だか影さんの特徴を上げていくと優さんは何かが引っかかるように繰り返してる
どうしたんだろ?まぁ結構珍しいからかな!

「…そいつは何をしたら喜ぶんだ?」
「何をしたら?」

黙っていたリベンさんが聞いてくる
参考が欲しいのがわかるけど……多分僕の答えはリベンさんが好きな目の前の彼女の役に立たないと思う

だって、僕は

「……僕、その子が喜んでくれること、何一つしてないんです」
「は?」
「好きなんです。それはもう間違えようがないぐらい。けれど、僕は知らないんです。その子が喜んでくれることが。その子は、自分の幸せより他人の幸せを優先するから」

大好きな僕の影さん
僕は影さんを幸せにしたいんだよ

自分は後回しにしないで
影さんは、幸せになっていいんだよ



  


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