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ザバッ!!!

水が空から床に叩きつけるように流れた音と一緒に酒特有のクラクラする匂いが漂い出す
目の前の人と同じタイミングで音の方、つまり戦っている二人の方をみると勇士先輩が水を浴びたように濡れていた
実際は水じゃなくて大量の日本酒だってのは様子見してる男性と俺を見てた茶髪の人は知らないと思う。でも匂いでわかるかな?

「全く持って人使いが荒い。膨大な貸しを請求します」
「げっ、狂乱とこの……なんでここにいんだよ!!」

地面より高い位置から見下ろしてくるキカイと荒
キカイは知っていたんだろうね。この町に勇士先輩がいることを
でなきゃ短時間で勇士先輩の好物の日本酒を大量に集めて勇士先輩にぶっかけられないよ

普通酒をかけられたら怒りそうなものなんだけど、勇士先輩は別
さっきまで暴れていたのがウソのようにおとなしくなって見開いてた目なんて怠そうな目になった

「狂乱勇士。これ以上の戦闘を開始するのであれば私が相手をします。そんな義理ございませんが、事情が事情故に妥協案を提示します」
「…………電雷………………か……」

この人にお酒の効果ってすごいと思う
あんなに気立ってた勇士先輩。酒かぶせられただけで大人しくなりました
アンタどんだけ酒好きなのさ

けど安心はできない。勇士先輩と戦っていた男性が普通に終わらせる気がある保証なんてないのだから
そっちの方の相手をどうしようかと男性を見れば、あのケーキ屋にいた女性と市ノ瀬さんがいた

「アルが頼んだケーキ残してるから早く帰るよ。なんかあちらさん方の解決したみたいだし」
「ケーキ……」
「唯ちゃん僕も食べたい!!」

……なんかあっちはあっちで解決してる!?
市ノ瀬さんはなんとなくこんなのに慣れてそうだけどあの黒髪の女の人は違うよね!?なんで平然と話し手られるの?

鷹野ってもしかして彼女?……だったら、納得いくかも……いや納得したくない
なんで女性がこんなのに平然って……なんだろう、俺がおかしいのかな?

「星さん」
「……キカイ」
「私の任務は終わりました。残りは貴方の任務のみです」

射殺さんとする視線。それを発する目に俺が映る
俺はもう、笑っていなかった

ダメだね。調子が狂ってる
本当に前回から踏んだり蹴ったりだよ。これもそれも、俺が持ってる本のせい
本の持ち主のせい

「すみません」
「……」

また笑みを張り付けて茶髪の人に向きなおる
きょとんとしていたその人は、俺と同じくらい薄い笑みを顔に張り付けた
ただ目が笑っていない。その人の背後に黒い何かが見えたのは一瞬

「これは俺たちの町にあるべき本じゃないのでお返しします」

とるかとらないかなんて構わない
投げるように茶髪の人に渡した。受け取るというより本を落とすのだけは嫌なように手が掴んだ

茶髪の人が本を見る
緑色の目には光がなく、何も映されてないようで不気味に思えた
けれど表情は微笑んで
荒とキカイと勇士先輩。鷹野さん(?)とアル(?)さんと市ノ瀬さんを視界の端に入れて

けれど声は誰にも聞こえないように落とした

「次があるなら容赦なく全面戦争しましょう」

茶髪の人の顔は見ないですぐ荒たちのところに行く
勇士先輩はケータイで何か確認して帰っていき、キカイは鷹野、さん?と何か話て戻ってきて
やっと俺たちはその町から帰ってきた

これが、夏休み最初なのに疲れた話











「…………縁は切れないか」
「星ーゲーセン行こうぜー」
「あーはいはい」

  


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