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唯 side

アルのおごりで付いてきたケーキ屋は当たり
安くておいしい。ラッキー
これもアルに頼み込んだ自分の根性のおかげだ。まぁアルがいない今はぼっちみたいな感じだけどちゃんとアルがお金を置いていったから割愛しよう

そう、思ってたんだけどなー

「唯ちゃん偶然だね!!」

なんで変態と会わなくちゃいけないの?折角の休日が台無しじゃん
私にケーキすら安らかに食べさせてくれないというのか……!!

変態を無視して目の前にまだあるケーキにフォークを刺そうとしたらケーキが動いた
てか取られた。誰だ私のケーキを奪ったのは!!

「市ノ瀬が挨拶してんだから挨拶しよーぜ」
「……誰?」

私と似たハーフアップの髪型だけども両側の後れ毛が外側に跳ねてる男子。初対面なのに馴れ馴れしいな
そんなことよりも私のケーキだけど。返せコノヤロー

ケーキに手を伸ばしたら避けられた
また同じことをするとされる。その繰り返しを何回かして私の怒りは抑えきれなくなった

「私のケーキ返せ!!」
「市ノ瀬に返事しろって!!」
「い、いいんだよ荒君。だから唯ちゃんにケーキ返して?」

市ノ瀬の声に渋々私にケーキを返す男から満足げに受け取る
良くやったな市ノ瀬。このことは一秒後に忘れてやる
またケーキを食べ始めると目の前の席に市ノ瀬と男子が座った。……ナンノ拷問デスカ?

「よくこんなに食えんなー」
「私だけじゃなかったんだよ。てか誰あんた」
「オレ?オレは保波 荒。よろしくな」

さっきのやり取りなんか忘れたように笑顔で接してくる保波はバカなの?
バカなのかこいつ。よくよく見ればカッコイイ容姿してるけど中身バカの子って……
とりあえずケータイのカメラ設定にしてっと

「はいチーズ」
「? ピース」

よし撮れた。いい笑顔だからこれはいい値段になるな
後で現像してちょっと商品内に入れとこう
保存完了して前を見直すと市ノ瀬がこっちを見てた。締りのないニヤニヤした笑みマジ引くんだけど
ちょっとその顔整形しに行ってくれないかな?見てるこっちが腹立たしい

本当なら市ノ瀬が声をかけてきた時点でさっさと帰りたかったんだけどケーキが残っていたから仕方なくいる
ケーキに罪はないからね。それにお金はアルのだ。これは食べなくては損ではないだろうか?

「貴方が鷹野唯ですか」

今日は声をかけられるのが多い
また呼ばれた自分の名前に見れば、これまた随分と冷たい印象を与える美少女がいた
髪の色が現実ならありえない色で、整った容姿は人の目を良くも悪くも惹く
私にこんな知り合いいないんだけど。どちら様?

てかさっきから思ってたんだけど私にケーキ食べさせるきないでしょ?
私のお腹を満たすケーキがあるのに食べさせないとかどんな拷問だ!!

「あれ?電雷さん?」
「保波荒、星さんと一緒じゃないのですか?」
「うーん、なんかスーツの男追ってった」
「考え無しですねあのバカ」

親しげに保波が美少女と話す。ああ、こいつ関係ね
チラリと視界に入った市ノ瀬は何故が顔を歪めていた。なに?新たな美少女出現に自分の位置に危機感抱いた?
はっ!お前の位置なんてそんなものなのだ!!

「鷹野唯、私たちに協力してもらいます」
「だが断る!」
「唯ちゃんに何する気?」

私と市ノ瀬を交互に見て美少女はため息をつく
美少女だから絵になるのはわかるけどあからさまでイラつくんですけど。何様のつもり?てかこの子巨乳まで行かなくても美乳……ふぁっきゅう!!

美少女はどこからか出したケータイを操作し、私に見せる
急に出さないでよ。てかぶれぶれで読めないんだけど

「別に貴方一人だけ連れて行くなんてしませんよ。そこの市ノ瀬……フルネームで呼ぶのが私の基本ですが今だけは不可能ですね。付いてきたとしても何の不満もございません。そして付いて来てとある騒動を止めてさえ下されればあなたのこれからのご請求を一部こちらで承ってもよろしいでしょう。勿論そちらの食べかけのものも貴方の家に搬送するのも可能」
「乗った」

私の判断は早かった

唯 side end

  


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