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金髪の女の子、市ノ瀬さんは正直いって関わりたくないタイプだ
どこがって聞かれたらよくわからないって答えるけど……どうもその目が苦手
荒と話してるときは楽しそうに見えるんだけども俺を見るときその目に何かの感情が見え隠れする
とても、よくない感情

「ああああ……見つけたよ唯ちゃん……」

やってることは本当に変態にしか見えないんだけどね
一本の電柱に身を隠したと思ったら前の方を見て顔をだらしなく緩めてる。美少女な外見じゃありえない

あーなんでだろう。姉貴の知り合い先輩思い出す
あの先輩と性別違う気と微妙に容姿がマッチしてるから……金髪とか碧眼とか……残念さが半端ないっていうか……

市瀬さんがさっきから見つめてる方には黒髪の女性と黒髪にスーツの男性がケーキ屋内に設備されてるテーブルでケーキを食べてる
大き目の窓だからどんな感じなのかよくわかるなぁ。……てか大の男がケーキいっぱい食べてるの見てるこっちが胸焼けするんだけど

何あのパフェみたいなのとかシュークリーム数個のに生クリーム、フルーツ、チョコとか
うえっ……気持ち悪い……

「星……お前そういえば甘いの……」
「ちょっと黙ってマジ気持ち悪い」

俺は甘い物より辛いほうが好きなんだって!!
うう……なんてもの見せるんだ……

「ところで市ノ瀬、協力って何すんだ?」
「……はっ!そうだね、協力してくれるんだっけ。簡単だよ。あの店破壊してほしいの」
「よしっ、わかった!」
「すんな!!」

何でもないように言う市ノ瀬さんと実行するバカ荒に声を上げる
何しようとしてんの?そんなのしちゃいけないって言ってるでしょ!!
市ノ瀬さんはきょとんってした顔しないで……荒、お前は後で処刑

「何言ってるんですか?そんなの器物破損も良いところですよ?」
「だって唯ちゃんに最近あいつ付きっぱなしだったっし……なんでもしてくれるんでしょ?」
「なんでもなんて……」

そこで言葉が止まった。止まるしかなかった
市ノ瀬さんの目と合った瞬間、その感情を読み取ってしまったから

「本当に最近ウザいと思うんだ。唯ちゃんは僕のなのに……」

似てる。その変な歪み具合があの先輩に
間違いなかった。その目が俺を恐怖に陥れるには十分で
そんな市ノ瀬さんが一瞬で目を逸らされたのは助かったというべきか。関わんなきゃよかった
やっぱり、後悔する

次の作戦を練るのか荒と一緒に何か話してる
俺は市瀬さんにこれ以上関わるのを拒絶してしまってついケーキ屋の方を見た
まだあの男性は甘い物を食べてる。よくそんな甘ったるい物食べてれるよね。糖尿病にならない……

ふと、紅茶か違う飲み物なのかその人が飲んだ時重なる
あれ?なんで?なんでだウソだまさか……あの人が?

「……星?」

如何わしげな荒の声を無視してケーキ屋に近づいていく
甘いケーキを食べていた男性は女性と何か話して店から出て行こうとしてる
追わないと。あの人が、多分そうだから
頭では冷静に、けれど内心焦っていたんだと思う。ぎこちない動きで歩いていた体き男性が店から出て人ごみに紛れるように消えた瞬間走り出した

後ろで荒が俺の名前を大声で呼んでいたけど無視
後で迎えに行くからなんとかしてろ。お金あるでしょ?

俺は男性を見失わないよう、俺の持つ勘と視力を最大限に利用して走る
どうか、間に合いますようにと



  


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