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右、左、前、後
とりあえず前後左右確認して手元の紙を見る。……これはどう考えても

「迷った……」

カンがいいはずの俺は道に迷ってしまった。ついでに言うと荒付きで
キカイはこの町に来た途端消えた。てかはぐれた?多分単独行動してるに違いない

「ふぁおったなか?(迷ったのか?)」
「うるさい何いってるのかわからないアイス寄越せ」

荒の持ってるビニール袋から乱暴にひとつのアイスを取り出す。うわ、少し溶けてる……
口にくわえながらまた地図を見た
どこで間違えたんだ俺?せめてここがどこだかわかれば……ん?

歩いていればなんとかなるってよくある話。そんな感じに近くに公園があった
公園の名前がわかれば地図が使えるかも
塀のほうに名前は見当たらず、公園の中に入っていく。こういうのは中に説明が書かれてたりする看板があったりするからね

子供は見当たらず、そう広くもないけど遊具はそれなりにそろってる
看板とかないか見回していると、余計なものが目に留まった

「……唯ちゃん……」
「……」

金髪の女子がブランコに座っていた。めちゃくちゃ暗いオーラを背負って
……え、見た感じ綺麗なのになんだろ。関わっちゃいけない気がする

「どうしたんすか?」
「こ、おまっ」

関わりたくないと思ったそばから荒のバカが話しかけやがった
こいつのケンカ売んない時のフレンドリーさは重宝してるけどこんな時に声かけんな!!
荒に声をかけられた金髪の人が顔を上げる。やっぱりと言うほどその顔も整っていた。美人……というより美少女に近いか?

「君は……?」
「念輪町ってとこから来たんスけど迷子になっちまって……てか本当にどしたんすか?」
「うう……僕の、僕の唯ちゃんがぁああああああああ!!」
「うおっ」

すすり泣く程度だったのに号泣し出した!?え、何この人。やっぱ関わんなきゃよかった!
泣き出した美少女さんにどう対応すればいいのかわからないのか荒がこっちに視線を寄越してくる。お前自分から処理できないなら声かけんなよ!!

「ゆ、唯さん?がどうしたんです?」
「君みたいな初対面が唯ちゃんの名前を軽々しく口にしないで!」

どうしろってんだよ!
ホント、面倒なのに声をかけたね荒。後で仕返ししてやるから見てなよ
ここで放っておけばいいのだけども相手は女性なのだ。どうもこうなると俺は弱い。多分それは俺のバカな姉が原因なんだろうけど

「じゃあなんていえば……」
「特別に鷹野さんって呼ばせてあげる!だから僕の話を聞いて協力して!」

……今、この人なんて言った?
俺の聞き間違いじゃなかったら鷹野さんって言った。俺がちょうど会いたいと思ってた人の苗字だ
鷹野なんて珍しい苗字、そうそういないのだから

イヤな予感と頭の中で鳴る警報は止まない
本当なら関わりたくないけど俺にだって譲れない事情がある
だから……

「協力するよ。よろしく」

今だけ気付かれないように笑みを貼って
俺は俺の目的を達成しよう


  


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