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遊也side
珍しくもハッカーからの連絡でこっちにバケモノが向かって来てるのを知る
楽しみだなー。この状況を見たバケモノはどんな風に僕と遊んでくれるんだろ
それは想像するだけで大きな快楽を生み、だからこそ早く早くと待ち望む
焦れる気持ちを抑えながら、僕は彼女を見た
逃げれないことに焦り、目の前の獲物である僕を捕らえられないことを憎く思ってるもう一匹のバケモノ
もしかしたら僕のオモチャになるかもだから試験中でーす
「くすくす、そこから逃げ出せないよ?その縄バケモノ専用の特注だから」
「くっ、このッ」
小さな体にどんな力が秘められてるのか楽しみ
出来れば早くその縄をぶち切って僕と殺し合いしてほしいんだけど、どうやら彼女は力だけに特化してるわけではないらしい
あのバケモノならきっと理性の代償に縄なんてぶち切って僕を殺しにかかってくれるんだろーなー。ああでも、もっと酷くしないとあれは殺しなんてしないか
たまたま見つけたイスに縛り付けたバケモノ、平城夜美ちゃんはその容姿とか情報を知られてないからかバケモノ、影に好かれてる
本当に好かれてるんだよ。女性だからって
影は女子がだーいすき。ああ、でもこの言い方だと怒るね。正しく言うと『普通』の女性と友達になりたいと思ってる
影は見た目とかやらかしたことによって『普通』の女子に好かれたことがないんだって。違うかな?友達になってもらえなかったんだよ
友達じゃなくて違う風に、つまりは性格に寄るのかな?恋愛の目で見られてるのさ
もうそこだけで僕は笑えるね
それ知った時大爆笑したよ!今でも笑えるぐらいに面白いよ
だから、影はバケモノのくせに『普通』の女子と『普通』に関わりたいと思ってる。そんなのムリなのにね〜
「ねぇねぇ、まだバケモノ来るのに時間あるからお話しよー」
「バケモノって……影?影が来てるの!?」
「てか君にぶつかったのがバケモノ、って言ってもすぐ君のこと誘拐したからわかんなかったかぁ」
一発蹴り入れてどかしたから顔とか確認させてないしね
ああでも一発の蹴りは甘かったかも。数発の蹴りでやっとアザができる身体だし
影の存在を知ってから、今度はさっきの比じゃないほど暴れ出す夜美ちゃん
おーすごいすごい。どっからそんな力湧いてくるんだろ?
「影に、手出しはさせない!」
「影が守られる側に回されるとは思わないけどー。てかさぁ、君なんか勘違いしていない?」
「何を「影が君を逃がしたり、前回みたいにしてくれたのは君を『普通』だと思ってたからだよ?君普通じゃないんだってね〜。いやー、ビックリしたよ。君もバケモノなんだってねぇ」……普通?」
意味が通じていない夜美ちゃんに僕は面白くて笑う
できればさ、影が来る前に壊れてよ。でね、影が傷つけばバカに頭がいい影は僕に攻撃してくれるわけ
ねぇ、君もそのために協力してよ
「違うの?バケモノ同士でしょ?いろいろ知っちゃったな〜。影は知らないらしいけど、知ったら君から離れてくねぇ」
「離れて……」
「そうでしょ?君の力を見て離れていかない奴はいた?いたとしても壊れてるか君の力を欲しがる奴らでしょ?疫病神でぇ、皆を不幸にしちゃってぇ……だから弟にも疎まれる」
「っ……」
愉しいなぁ
やっぱり僕としては表情は変わる方が好き
影は無表情が通常だからあれを崩すのには一苦労だよ。でも最近になったら少し読めるようになったかな?
俯いたままの夜美ちゃんの顔は見えないからケータイで影の居場所を確認する
今どーこーかー……あれ?なんで表示がここなの?ここは何も隠れるものがない場所なのに
……ああ、そっか。あのバケモノ
「……あ………あ…あああ……あああああああああああああああああああ!!!!!!」
上から叫びが聞こえる
それは段々と近づいてきて
本当に
規格外なことするな〜
遊也side end