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田村さんや平城君を無視してオレの真ん前に仁王立ちするハッカー。お前白衣なの変わんねーのかよ
引きこもりが直々に何の用だよと呆れていたら急に脇に手を入れられて勢いよく持ち上げられた。……なにこの宙ぶらりん状態

「貴様、性別が変わったのか?」
「は?」
「先ほどそこの性別がわかりにくい女が貴様を君付して呼んだ。俺の予測としてはあのような人種は女にまで君付はしないと見た。そこでならば貴様が性別を変えたのだと「そのメガネ割ったろか?」……骨格等など見ても性別学上雌で間違いないな」

骨格って……お前もオレと同じ見方かよ!性別学上はせめて女と言え!
てか田村さんのこと女呼ばわり?名前聞いてないからってもうちょっとマシな言い方あったろ!あーマジでこいつのメガネ割りてー

こいつに宙ぶらりんされるのは初めてじゃないが、正直言ってそろそろ脇とか痛いしこの体勢苦しい
ので無理矢理ながら降りた。ハッカーも特に気にした風がなく、白衣のポケットに手をつこっむ。そうやって歩くとこけた時ひどい目見るぞ

田村さんたちは置いてけぼり状態だったせいか自体が読み込めていないのか固まってる
……固まってたのは田村さんだけで平城君はそんな田村さんを見てるだけだった

「えっと……誤解してたと思ったので自己紹介に追加してください。オレは性別女でこれでも16なんです」
「16……私たちより上……」
「ほらハッカーもご挨拶を「それどころではないぞ朝霧影」なに?」

白衣のポケットを漁るハッカーは田村さんたちに興味が示さないのかとくに気にかけてもいない
オレとしてはお前の狂気知ってからありがたいんだけど……なんで興味を示さないからって自己紹介もしないんだよこいつは

初対面に自己紹介するのは当たり前のことだけどそれはもしかしたら自分の中の常識なだけだから強く言えない
でもしないのは納得できないんだよな……

「俺は貴様にこれを渡せと言われたのだ。取引の条件としてな」
「これ?」

はかきから受け取ったのは一つの手紙
それを開けて中から一枚の紙を取り出し確認して

我を忘れたように思いっきり走り出した



はかきside


勢いよく走り去った朝霧影。ダッシュ力と瞬間最高速度を計っておけば良かったな
それとも最初に縄で縛りあげ、どのように縄から抜け出し行動するかを確かめてもよかったか。いや、縄どうのこうの言うのは少し前に実験済みだった気がする

取り引きの条件として自分がやるべきことはやった。データはコンピュータに任せてきたが……やはり自分の目で確かめるのが一番だ
早く実験室に戻ろうと思い、今いる家の玄関に向かおうとした

「ま、待って、ください」
「……なんだ?」

全く。次から次へと面倒事が出来上がる
声をかけてきた性別がわかりにくい女は朝霧影の走って行った方と俺をと忙しなく動かす
……ふむ、少し解明したくなる動きだな

「えっと、影、ちゃん?さんかな……は何をしに行ったんですか?」
「何故貴様がそれを疑問に思う?」
「何故って……」
「貴様が関係することではない。関係しているわけではない。なのに何故朝霧影を気にかける?」
「それは……」

答えが見つからないのか視線を彷徨わせる女
……そうだ。気にかけると言えば朝霧影もよく関係無い事を気にかける。朝霧影は何か答えを言ったはずだが生憎俺はデータに取っていなかった

今思えば惜しい事をした。化物の回答などそう知れるものではない
惜しい……知りたい。ならば目の前の女を使うか?こいつもあの化物と同じ事をしているのだ。もしかしたらデータが取れるかもしれない

そうだそうしよう。例えあの化物と違えど、化物と比例するのもいい
知りたい。この女を解明したい

「うわっ!……ひ、平城?」
「……なんだ貴様は」
「田村さんに、近づくな」

白衣の裏に常備してある麻酔針で女を捕獲しようとしたら邪魔が入った
女の前に立つ男。まるで獣みたいだ
獣……そうだなこの目は知っているな。あの小さな化物に纏わりつく奴と一緒だ。だがあいつとは違うか

「邪魔だ」
「今、田村さんに何しようとした?」

会話がかみ合わん。面倒だ
力勝負や体力勝負になったら自分が負けることぐらい理解している
仕方がないが今回は引き上げよう

だが……

「貴様も中々に面白い材料だ。いや、過程による産物ともいえるが貴様の存在は興味を惹く」
「っ」

情報と同じ、その茶色の目を覗く
一気に近づいた俺に驚いたのか、少しだけ男は後退した
興味深い。実に面白い

解剖してしまいたい衝動を収め、男から離れ歩き出す
後でこの衝動をどこに使おうか……「あの!」

「……?」
「私が影さんを気にかけるのは影さんが心配だからです!」

男に隠れて見えないが、女がやっと回答を出した
心配?なんの心配をしているのだ?
最強の化物であり、証拠付のようにモノクロ破壊者と呼ばれるあいつに
心配。そんな不可解な感情を抱くのか……

「……ほう……実に意味深な回答だ」

やはりいつかあの女と男は解明して見たいものだ
いや、解剖だな


はかきside end


  


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