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眠くなるこの頃
惰眠と言う惰眠をむさぼりアル先生に絞られました
ひどくねっ!あの人(一応)女子であるオレに拳骨とか……体罰だ!虐待だ!
ぷんぷん怒りながら夕焼け空の下肉まんをくらう。うめー
帰宅路地に通る公園なんとなく見た。すると見たことない服装の人がいた
……外国人?
その人はベンチに座っていて、顔を上に向けて寝ていた
いや、寝てるっていうか、目を閉じてるっていうか……
途端、その人、女性はカッと目を開いた
驚いて凝視してしまう。気付いていないのか、女性の人はオレに何も言ってこない
そして女性が口を開ける
「お腹、空いたーーーーー」
『ぎゅるるるる』
「……はい?」
どうやら女性の人はお腹が空いてたみたいです
* * *
「もぐもぐ、私はノヴァ、もぐもぐだ。もぐもぐもぐ、世界を、回っていて、もぐもぐごくんっ。ご飯、おいしかった。ありがとう」
「いえいえ」
渡りに船状態のため、なんとなく気まずくて買った弁当を上げた
女性の人、ノヴァさんは話を聞く分じゃ世界を周っているらしい。そういう旅人みたいな人いるんだ……
「そういえば名前はなんていうんだ?」
「オレは……斎って言います」
「イツキか。助かったイツキ。ここんとこハズレのばっかだったから」
「ハズレ?」
それってまずくもないけどおいしくないってこと?んー、オレもそういうのあるなぁ
そういうの関係なしだと唯さんの料理かな?この前紫色の煙が何故か食べ物から上がってたし
あれはすっごいことだったなー。関わりたくなくて離れてたけど
「ご飯はおいしいのに騒がしくてね」
「家族の方ですか?」
「ん?家族ではなく我が子だよ」
「……はぁ」
突っ込んじゃダメ。突っ込んじゃダメ
心を無にするんだ
そう思ってピザまんに口をつける。もぐもぐ
「……それもおいしそう」
「こ、これはオレのです!やめてくださいよ?オレ今月金欠なんですから」
「金欠?」
「お金数えるの間違えちゃいまして。後34円で今月生き延びれるか……」
「……無理だと思うよ?」
「やって見なくちゃわかんないっすよ」
もぐもぐと今度は焼きそばまんを食べる。焼きそばうめー
「そろそろ行こうかな」
「帰るんですか?」
ノヴァさんは立ち上がり背伸びをしている。そんなノヴァさんから1つの筆が落ちた
「ノヴァさん、筆落としましたよ」
「あ、ごめんごめん」
落ちた筆を拾い、ノヴァさんに渡す。その時、なにか冷たいものが筆に通った気がした
なんだろ。冷たいものが流れてくるような……水?いや、あれより違う。絵の具みたいな、ドロッまで行かないけど水みたいに流れはよくないモノを感じた
「そうだ、イツキ。ご飯をくれたお礼に面白いものを描いてあげる」
「描く?」
描くって言ってもノヴァさんはキャンパスとか持っていない
どうやって描くんだろう?
そう思っているとノヴァさんは筆を大分暗くなった空に上げる
「まず最初、暴食」
絵の具がついていないはずなのにノヴァさんが筆を振るとキラキラしたものが宙に浮く
それは各場所に集まって人の姿になる。絵みたいなそれは髪が長い男性でご飯を食べてる
でも、おいしく食べてる感じがしない?
そう思っていると光は消えていきなくなった
「次に傲慢」
次のは男性。優男みたい、姿がなんとなくアル先生に似てる
……なんか、後ろの方に三つ編みメイドがいるような
「憤怒」
「嫉妬」
「色欲」
「怠惰」
次々描かれては消えていく絵達
そういえば、今さらだけど彼女の題名のようにいうのは七つの大罪の言葉じゃないだろうか?
六つ言われた。残りは一つ
「――最後は、強欲」
それが合図のように、描かれた人はオレが良く知ってる人
オレに耳にタコができるほど女子生徒の服を着れと言って持ってくる
「……アル、先生?」
待って待って。全然話が付いて行けない
意味がわかんない。この人はアル先生の知り合いなの?
そう思ってるうちに絵を作っていた光が消える
空にはもう月が上がっていてノヴァさんに光を注ぐ。風が吹いていないのにマフラーみたいなのがふわふわ揺れていた
幻想的で、その光景自体が一枚の絵のように見えた
「さーて、これで本当のサヨナラ。バイバイ、イツキ。アルはしつこいからその時は甘いものをあげなよ」
そういってノヴァさんはまた筆を振る
今度は絵ではなく光がノヴァさんを包んだ。そして、光が完全に消えるとノヴァさんもいなくなっていた
…………ノヴァさんって、何者でしたの?
オレは当分その場から動けなかった
てか絵が出てきたときから固まって動けてないんだけどね
追記 アル先生に襲われたらお菓子を投げることを覚えました