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「……どうしよう、これ」

夏休みに入る前日
草むらの中からそれを拾う
それは相変わらず黒くて……本当なら素手で触りたくなかった

「如何しようもないではございませんか。元の持ち主にお返しするが最善」
「あのさ、言ったよね?この関係者過去の存在で……世界が、違うんだよ」

何があったのか。それを俺の後ろにいる幼馴染は知っている
俺が教えたことは半信半疑ともいえるけども、この幼馴染はその不可解なことを信じた
その辺は普通……なのかもしれない

黒いそれを開くけども、墨のような焦げのような……とりあえずは黒色の部分が多いせいで中身は読めない
読んだとしても良い物ではないだろうから気にしないけどね

「世界が違う……ですか。ではもうこの世界には異常が起きてますね」
「何か言いたいの?」

振り向けば幼馴染は俺に寄ってくる
その反動でかありえないエメラルドグリーン色の髪が揺れる

一応のこともあるので警戒していると、白い手が何かを差し出した
何かは、これまた白い紙。ただ、何か描かれている

「鷹野家。とても有名な裏の家系でございます。この方に関係している者が……」
「……子孫、とかってことだね」

俺の答えは合ってるのか合っていないのか
何も言わず俺から離れていくキカイ。例え離れたとしても油断できない
何時隠し持ってる小刀を持って襲ってくるのか内心怯えながらその紙を見た

確かに……こっちの地方にこんな町があっただろうか?と言うよりも鷹野なんて珍しい苗字見たこと聞いたこともない
この町に……いるかもしれない

「キカイ。ちょっとお前も来てよ」
「夏休みは主のところに行きます」
「……その姉貴に災いが落ちるかもよ?」

脅すように、けど事実になりかける事を言えば顔をしかめ思案し出すキカイ
俺はケータイを出してアドレスから一つの電話番号にかける
数秒の電子音の後、眠た気な声が出た

「明日、遠出するから荷物まとめといてよ」

横暴だろうか。知ったことか
協力者は多いに越したことはない
一方的な用件だけいってさっさと切る。黒くなってる……あの時投げた本をたまたまあったビニール袋に入れて

折角の夏休みの始まりが
最悪になることが予感できた


  


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