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いつも通り変態どもに追われたオレは珍しく校内から出てきてしまった
今いるところは所謂裏路地。オレだって時たま違反な不良を注意するため見回りみたいなことをしに来る
この程度なら学校に戻れるかな。いくらちょっと方向音痴なオレだってこれぐらいは戻れ、る……

裏路地を奥へ奥へと行くと拓いた場所がある
空き地と言えばいいのだろうか。けれど草とか土とかないコンクリの空き地
そこは普段、オレの舎弟や不良のケンカ場になってる。そう、普段は
今そこではオレと同じぐらいの身長のそれはそれは可愛い美少女が大の男に襲われていました

「なにしてんじゃゴラァアアアア!!」
「!?」
「!!」

男に殴りかかるとモノクロに変わる視界
拳が意外と弾力のあるものを殴った感触の後、モノクロ表示だけども男は跳んで行くのはわかった

立ち上がってくる気配はない
ついでに他の奴の気配はしない
……安全、か?

目を瞑って一、二回の深呼吸をする
けれどそれだけじゃ治んないようで数回深呼吸を繰り返した
何回目かの時、目を開ければモノクロじゃなくてちゃんとした色が見えた
これに安心して、少しだけホッとする

「……えっと、……」

後ろから上がった戸惑い含んでるような声にもう一人の存在を思い出した
そういえば咄嗟に動いたけど美少女を後ろにかばって殴りかかったんだっけ
後ろを振り返ればきょとんとした顔の美少女がオレを見つめてた

サラサラしてそうな黒髪
潤んでる黒目
青白くはなく、けれども褐色でもない白い肌

……めちゃくちゃ可愛え
なんで美少女がこんな裏路地なんて来ちゃってんだろ。ダメでしょ!こんな可愛い子がここにいちゃ!

「大丈夫?怪我してない?」
「え、あ、うん……」
「よかったぁ。君みたいな可愛い子に傷一つでもついてたらさっきの男をもっと酷い目に会わせてやるけど」

オレの言葉に反応してか美少女がびくっと肩を振るさせた
あれ?オレなんかおかしなこと言ったか?美少女もとい、女性に危害を加える野郎なんて男の片隅にもおけねー
だから傷つけたら因果応報ってやつだと思うんだけど違うのか?

ま、そんなことは異常じゃない紅ノ原に訊くとして今はこの子をさっさとここから連れ出さないとな
念輪町は良くも悪くも異常者ばっかだし

「早くここから抜け出そ?この時間ここの路地は悪い奴ばっかだから」
「でも……その、私にはやることがあって……」
「やること?お使い……とか?」
「そ、そんなものだよ!ちょっと迷子になってて……」
「んじゃ手伝うよ。どこかに行く予定だったの?」
「う、ん……手伝いはしなくてもいいよ!私一人ですることだし」

焦ったように、気まずそうに言う美少女は何か隠してるみたいで不思議だった
てかこんなオレと身長がさほど変わんない子が一人でとか親は何してんだよ!……放任主義ってやつなのか?

……そういうのは、よくわかんないな
うん、仕方ない。オレは一人暮らしだし、親に最近会いに行ってない事に少し反省

とりあえず、オレは沈みかけてた心を無理矢理でも浮かす
そして無表情だろうけど美少女を見て言う

「ここで会ったのも何かの縁!君の用事が終わるまで一緒にいるよ!」
「…………」

迷惑だと思われたとしても
こんな可愛い子を一人にするなんて気が引ける
それに、嫌な予感がした
この子を一人にしちゃいけないと本能的に感じた


  


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