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暑くて蜃気楼にも似た状態を作り出す屋上で、オレは寝ていた
暑いけれど寝てる間は意識を失ったみたいなもんだし気にしなかった。けれど、それがいけなかったのか俺には今この状況には頭が追い付かない

「せ、星……ここ、どこだ?」
「……いくら俺がお前より頭良くてもわかんないよ」

狼狽える荒と屋上ではありえない草木の景色に俺は今日もため息を付いた
俺は寝てたからよくわかんないんだよな……。荒なら知ってるか?

「お前何も知らないの?」
「オ、オレはお前を探してるセンコーに呼んで来いって命令されたから来たんだけどよ……屋上のドア開けたらお前がこの草木の中寝てて……」
「屋上の扉は?」
「……お前を起こそうと離れたらいつの間にか消えてた」
「……このクソが」

普通そういう時は扉開けたまま呼ぶんだろ。バカかこいつ。……ああ、筋金入りのバカか
イライラしながら荒を見るとヒッと怯えた。こいつオレより不良とかやってるくせに何怖がってんの?てかあからさまに怖がれるとイラつくからやめてくんないかな

辺りは見回せど建物はない
ここは日本か?日本でもこんな緑だけの自然場なんてない
それに、日本だとしても時間がおかしい

空を見上げれば明るすぎるほど輝く太陽
オレが寝てた時刻は昼休みなのに今の太陽の位置と動きじゃ午前だ
正午じゃない。それだけで異常事態とオレの頭は訴えかけてくる
ホント、普通じゃない事には敏感だよ

仕方なくてケータイを取り出したけど何故か画面が真っ暗
起動しない……壊れてるわけじゃない気がするけど……

「荒、ケータイは?」
「この状況にびっくりして、その……」
「早く言えよ」
「……閉まった扉の向こうに落としてきました。……カバンごと」
「バカ?君がそこまで能無しとは思わなかったよ、水保君」
「悪かった悪かった頼むから銃口をオレの頭に当てないでくれ!痛い痛い痛い痛い!!」

実弾入りではないおもちゃの改造銃に悲鳴にも似た声を上げる荒は正直うるさい
はぁ……とりあえず歩くか
改造銃を簡単に見つからないとこに戻し、歩き出す
痛みに呻いていた荒もそんな俺に付いてきた

「ここ絶対ぇ日本じゃねーよな」
「ないだろうね。木の種類が日本種じゃない」
「わかんの!?」

また騒ぎ出した荒を無視して周りをよく見る
人の気配は……そんなにしない。荒れてようなところはないし逆に豊かだ
こんな自然に近くて、けどなんていうんだろ。大自然ってわけじゃないよね

カンに任せて歩いていったけどどうやら木々がない拓けた場所に出た
草原……というか雑草ではないから自然にしては少し不自然――

嫌な予感して右に避けた
俺がいた場所には荒がいる。そして前からは弧を描いて飛んでくる小瓶みたいなのの蓋が開いてか中身の液体を出しながらきた

「――は?」

液体に頭から当たった荒は何がどうなってるのか知らないが、煙をあげた
匂いは……毒じゃないから平気か。荒は何やってんだよ
呆れて何も言わないでいると煙は晴れた。そこにいたのは

「……ウソだ。おれのからだがぁああああああああああ!!?」
「……懐かしいね、その姿」

幼い荒だった




  


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