はかきはベンチで義清が連れてきた責任で看てるということで、義清とはかき抜きでオレたちはゲーセンに入る
あのゲーセン特有の大きな音と光に遊びたいって気分にはなる。お金ないけど

「バケモノー。僕とゲームしな〜い?」
「したくないです」
「えー」

なんで自分からわざわざ危険なことをしなくちゃいけないんだよ
ゲーム関連なら遊也先輩が誰よりも上だって知ってる。あの人が負けるゲームなんて見たことない
まぐれとオレの負けず嫌いで勝つことはあってもそれはゲームというには生々しい戦いで、こういうちゃんとしたゲームは遊也先輩が一位だ

遊也先輩は口でわざとらしく「ちぇー」と言いながら勇士先輩と雪先輩を連れていく
別行動ならありがたい。次のところに移動するときに声をかけよう
まぁ、変態ズだけと一緒っていうのは全然よくないんだけど

「何する影さん?」
「オレ、今お金ないんだよね」
「あら、気にしなくていいわよ?私が出すもの」
「カトちゃんに出してもらうなんて……いいよ。ちゃんと使える分はあるから」

財布の中身にはそれなりにあるお小遣い。でも無駄遣いはしちゃいけない
毎月振り込まれている金額が大きくても使うときは気を付けよう。だってそれで大学行くんだから
働いて稼ぐのにも限界があるし、ね

何となく周りを見回しながら歩いていると一つのクレーンゲームに目が行った
その中に入っているのはオレが好きな漫画に出てくる動物と似ているモフモフで大きめな丸い鳥のぬいぐるみ
可愛い……それに触り心地も抱き心地も良さそう

「影?」
「ん?なに?」
「何かあったの?」

不思議そうにオレを見てきたカトちゃんにいいやと返す
だって取れそうな気がしないし。お金を無駄にしたくないし

クレーンゲームコーナーからプレイゲームコーナーのほうに移動する
あの鳥のぬいぐるみを見たらまた欲しいと思っちゃいそうだから視線をそらしつつ行くと、そこにはさっき別れたばかりの先輩たちがいた
しかもしてるのはゾンビゲー

「……何してんすか」
「待って今こいつら一斉掃除してるから」
「粗大ごみ、ですね!」

雪先輩、あなたは声上げないほうがいいと思いますよ
ただでさえ攻撃食らわないでゾンビ一掃してってるのが通行人たちの注目の的だっていうのに、それをしてるのがヤクザの頭の片方と歌姫というわれるアイドルって、どうよそれ

先輩たちは難なくゲームをクリアさせて、オレはそれを見届けた
あのゲーム、クリアできる人なんていたんだ……
驚き半分、呆れ半分で遊びを満喫したという雰囲気の遊也先輩と雪先輩を迎える

「やっぱ自己防衛という正当性がある大虐殺はすっきりするね〜」
「あんたはそんなのなくてもするだろ……」
「ストレス発散できました!!」
「ゾンゲーがストレス発散って……どうだよそれ」

典型的といえば典型的なのか?
まだ遊び足りないのか遊也先輩からお誘いを受けたが断っておいた
少しずつだけれども、視界の端から見える物全てがモノクロになってきている

ウイルスの感染みたいで怖いわ
きっと赤色があるっていう警戒から侵食するようにこうなっていってるんだと思う
こうなったらいったんゲーセンの外に出ないといけないし、だったら次は本屋に行こうかな。新しく本が出てたらいいな
そう思って時刻を確認しようとしてケータイを出すと、よっちゃんから連絡がきてた。気づかなかったや

「先輩。義清から戻れって来てます」「え〜。まだ遊びたいー」
「呼んでるんですから行きますよ」
「てかさ、現君がいないんだから勝手に戻れないでしょ?」
「え」

周りを見回す。確かにあの目立つ髪の現がいない
……あいつどこ行きやがった!?
さっきまでいたのに全然見当たらない。薄暗いのもあってか……どこに行ったんだよ

嫌だけど、ケータイに電話かけるか
そう思ってケータイを出そうとしたらカトちゃんに止められた

「私が電話かける大丈夫よ」
「え、いいの?」

電話代かかるからありがたい
綺麗にウィンクを決めたカトちゃんはスマホを出「ちょーっと待ったぁあ!!」

「どこにいたのよ」
「なんで、影さんの電話を邪魔したの!?耳元で影さんの声が聞こえると思ったイダダダダダ!!」
「そんなことだと思ったわ。ホント、最悪ねぇ」

その煩悩を取り払え!!
思いっきり太もものあたりを捻ってやる
痛がる現を見上げると、現はさっきまで持っていなかった大きな袋を持っていた

なんだこれ?
ちょっと聞きたくはあったけど義清からの連絡を思い出して後回しにする
どうせこいつのことだ。碌なものじゃないだろ








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