走って走って、逃げ切れそうにもないからどこかの開いてる部屋に転げ込む
急いで閉めたドアの向こうで、走り去っていく二つの気配に忌々しく舌打ちをする

迷惑考えろよあいつら
無駄に体力消耗して疲れたじゃねーか
イライラしながらも大分落ち着き、周りを見て自分がどこの部屋に入ったのか知る

何台も並んで列を作っているパソコン
何処から出てきて何処に繋がっているのかわからないコンセント
何かの電子機器がそれぞれの光をぼんやりと放っていて

ここ、パソコン室じゃん
オレたちS組は必要時以外は本当に使わないから懐かしいと言うかじっくり見たことがないと言うか
暗いカーテンがかかっているから薄暗いその部屋はどこか別の空間にも見えた

「ひひっ……今のって生徒会長の犬共だろ。モノクロ破壊者でもあんな奴ら相手にしたくねーよな?」
「!!……誰だよ」

急に声をかけられ気を引き締める
オレの異名を知っているのに声をかけてきたんだ。只者じゃないはず
薄暗い空間に視線を向けていると、誰が歩んでくるのがわかった

近づいてきたのは男子制服を着ている、けれどさっきの声や体付きからどこか女子っぽい人
良く見えないけれど、ゲスっぽい笑みを浮かべていた
でも遊也先輩みたいな嫌な感じはしないのが不思議だ

「このパソコン室を管理してる奴だよ。S組にいるお前らなんて僕のこと知らねーだろうな」
「……そうだな。知らない」
「別にいいけど。僕は別の事であんたに話しがあるんだよ」
「話?」
「ああ」

なんだ?取引とか?
オレから見たら目の前にいるこの人は普通に見えるんだけど
まぁオレから見てだから傍から見たら普通じゃないのかもしれない

嗤うその人の次の言葉を足すように見返す
その人は嗤って、オレに聞いてきた

「あのいけすかねぇ紅ノ原和樹の弱点を教えろ!!」
「…………は?」
「知ってんだろ?あんたあいつと中学時代からの付き合いなら弱点の一つや二つ見たことあんだろ?教えろよ」
「…………うん、ちょっと待て。なんで紅ノ原?」
「ムカつくからだっての!!」

ごめん。怒られてもオレ理解できない
なんかふてぶてしく聞いてくるから重要な話なんだろうなぁって思ってたら何故に紅ノ原の弱点?

疑問で頭の上にハテナマークを浮かべていると急に室内の電気がついた
突然の眩しさに目を瞑るけれど敵意や悪意はなさそうなので大丈夫だろう。慣れようとしていると近くから叫び声が聞こえてきた

「ギャアアアアアア!!?誰だよ電気つけたの!?昨日は株に熱中しすぎて徹夜したってのに眩しい!!目が、目がぁあああ!!」

リアルのム〇カ?
大分慣れて、声のほうを見るとさっきまで笑っていた人は両手で目を抑えて床に倒れていた
……あ、リアル〇スカでした
声からして女性のその人には悪いけれどそう思った

「まったく……急に叫んじゃダメだよ、忍」
「秋……お前……」
「すみません、朝霧さん。忍は紅ノ原君といろいろあって……」
「……はあ」

電気をつけるところから出てきたのは美少女だった
カトちゃんや雪先輩とはまた違うタイプの美少女で、困ったような顔で倒れている人を見ている。倒れている人はやっぱり男性服を着ていて、掛けていたんだろうメガネが転がっていた

うーん……なんかすごい人たちだなぁ……
これだけならまだS組じゃないってのが不思議だ。どんな基準と判断でS組に入れられるんだよ

ほとんど呆然と二人を見ていると、鐘の音が鳴った
あのおかしい、集中力のために使われている一般の鐘の音とは違いすぎる音が
はっと思い出す。そういえば、オレが無事で出歩けるのは義清が授業中で出て来なかったからじゃないか?

ヤバい
そう思った瞬間、パソコン室のドアが開く

「反省部屋に、連行する!」

怒りに顔を染めた義清がそこにいた
……勿論逃げましたがね!!






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