悪いも良いもわかる俺が異名を付けられるなんて、意味がわからない
それを一度、キカイに言ったらこう言われた
『完全で完璧な人間など、私は存在しないと思いますがね』
ある意味、あいつの嫌味だ
俺は人間じゃないと言いたいんだろう
俺は別に完璧になろうとしたわけじゃない
隙をなくし、信用を得るため、俺は今の俺でいるのに
なんで人間以外と言われるのだろう
俺は普通だ
普通でいなくちゃいけない
約束したのだから。俺が代わりに普通でいると
そしてそのために俺は生きている
普通に、生きていないといけない
そうしないと、あの化け物はもっと壊れしまうから
壊れると、知っているから
例え俺の手が汚れようとも
俺は普通を装い生きていかなきゃいけない
「星ー、帰ろうぜー」
「……ああ」
荒に返事をし、向かう
よくよく考えたら、臭いも染みついてるかも。……服変え損じゃん
薄暗いこことは違い、明かりが見える。多分、表の道
俺はそこに戻ったらまた演じる
笑みを浮かべ、隙を見せず、俺は完璧でいる
狂ってしまえば楽なんだろうか
何も気にせず堕ちてしまえばいいのだろうか
そう簡単にできないのは
化け物になるしかなかった姉がいるから
prev/next