「最近どお?」
「それ一番話題に困るよね。どうもこうも何もないよ」
「聞いてくださいよー。こいつ男女両方に告白ってのされるん「荒!!」」
「おおー……ん?」

星が告白……顔は父さんや母さんのおかげで整ってるのはわかるけど……
って待て待て待て、今、男女両方にって言われたか?

思わず哀れみを込めて星を見ると見んなって目で返された
いや、お前それさ……オレとは逆だけど同じパターンじゃん。なんなの?朝霧家そういうの多いの?

そんな応酬を繰り広げているとキカイがお茶を持ってきてくれた
餡子とあうんだよねーお茶って。やっぱ和菓子サイコー

「違う……オレにそっちの趣味はない……」
「で、星のやつ全員断ってるんですけど、なんだっけ?断られた人全員やんでれ?ってのになったみたいで」
「……お前どこまで最悪な人生なの?」

断った相手がヤンデレ化って……お前の巻き込まれ体質みたいなの知ってるけどそれ人生ハードモードすぎやしないか?
お茶を入れ終わったキカイが鼻で笑っているのに気付いているのかいないのかちゃぶ台に顔を伏せる星は何やら独り言を言ってる

オレ、さすがにそれはなかったよ、うん
…………あ、一人いた。いやあいつは多分もとからの性質だ

「星、もしもの時はオレ呼んでいいんだぞ?お姉ちゃん心配だから」
「……姉貴が来ると俺が恐れられる。やっと、演技も定着してきたんだ……くんな」

星の頑固性はオレも知っているからそれ以上言わずため息をついた
星の演技というのはよくわからないが、ある意味星なりの自分の守り方なんだろう
星は臆病だから、怖がりになってしまったから、自分を守る何かが必要だったから、今の星になったんだ

そうさせたのは少なからずオレが原因だからあまり強く言えない
……言えたら楽なのかな

「あ、そろそろ帰る時間じゃね?」
「……本当だ。そろそろ帰るね姉貴」
「もうか?早いな」
「いやです私はまだ影さんと共にいたいです!!」

帰る準備をし出す星と荒君とは反対にオレの近くに寄ってきたキカイ
……えーっと、オレが言えば済むんだろうけどキカイにあの家に帰れっていうのも酷な気がするし……いやキカイのお母さんである琴さんはいい人だけど……

一向に帰り支度をしないキカイを見かねてか、星が深いため息をしてこっちを向く
頼むからケンカはすんなよと目で訴えるとまたため息をつかれた

「帰るよ」
「嫌です」
「今日は青科さん帰ってくるらしいよ」
「…………帰りましょう」

忌々しげに、目を細めながらオレから離れるキカイに少しだけ安心すると同時に罪悪感が芽生える
星をみればそれを見透かされたようで苦笑した。表情は変わってないんだろうけど

呆れたような表情のまま星は荒君とキカイと一緒に出ていく
見送っていると星が振り向いた

「また会いに来るよ」
「……いってらっしゃい」

言う言葉を間違っているのは自覚している
けれどいってらっしゃいと言うのは、懐かしい記憶を忘れたくないから
オレの言葉に返事はなかった





【次はいつごろ来るの?】
【知らない】
【……】
【また時間があって気が向けば行くよ】
【次は果物用意しとく】
【桃がいい】
【了解】






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