廊下を走る
白くてまだ汚れていない廊下を
どっちに向かえば迷惑が少しで済むだろうか

そう思って足を動かすけども
そんなのが無駄のように頭の後ろに何か当たるのがわかった

「みーっけ!」

蹴られたとわかった瞬間、頭から倒れた
滑るように廊下を転がる。摩擦とか痛みが尋常じゃない
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!

打撲しただろうか
擦り傷ができただろうか
とりあえず頭グラグラ。骨折とか骨に異常がないことを願お

「くすくすくす、本気で殺りに来ないと死んじゃうよー?それとも自殺願望者なの?」

楽しそうに笑う声は嫌でも耳に残る
気配が確実に近づいてきたとき、体が勝手に動いて先輩のほうに爪を立てたながら手を振るう
簡単に避けられたけども先輩の影を追うように跳んで蹴りをかます

「くす、くすくす、ア゛ハッ!アハハハハハハハ!!」

モノクロの視界
目障りな笑みが消えない
邪魔で邪魔で、ただ邪魔で追った

笑みが消えれば何でもいい
まだ痛む体の節々しか頭で考えることはない

先輩が次に背後に回るのがわかった
学ランの裏から隠し持ってる鉄パイプを取り出し、後ろに振り回した

「影さん!!」

先輩にぶつかるはずだった鉄パイプが当たったのは見覚えのある金色。それは衝撃で壁に飛んで行った
あれ?いま何に当たったんだろ?

見ようとした視界が黒くなる
それと同時に感じる温かみ
体が固まる。けれどそれは強張るとかじゃなくて逆に余分な力が抜けていく

「影、もう大丈夫よ。手にあるものを離して?」
「…………」

優しい声に操られるように手を広げる
カランカランカランッと乾いた音が足元からした

疲れた
眠い
怠い

力がなくなったみたいにその場に座り込む
目は疲れたから自分で閉じたまま。頭の後ろに柔らかさを感じて、なされるままそこに体重を預ける
体の節々が痛いし、喉が渇いたなぁ……

「あのさー、邪魔しないでくれる?僕の努力無駄にするなんてひどいよー」
「影さんの精神をおかしくすることがあなたの努力ですか」

どこかで誰かと誰かが話してる
誰だろうか。目を開けたいけれどもまた黒と白の世界かと思うと躊躇う

「おかしく?何言ってるの?僕らS組、みーんな異常者の証である異名を持ってる時点でおかしいのは当ったり前でしょ?」
「……僕、先輩の事嫌いです。怖いです。けれど」


「影さんを泣かせるなら先輩であろうと僕は赦しませんよ?」


それは怒ってるようで
どこか優しい声音だった

もうそこまでで、オレは意識を落としていく
完全に落ちる前、オレは…………ボクは……思う

人殺しにならなくてよかった










「影さんおはよっ!怪我大丈夫!?」
「……ここは……」
「僕行きつけの病院だよ。一応検査とかしたけど大きな怪我とかないって」
「……現、大丈夫?」
「ん?僕は平気だよ。かれこれ中学時代から影さんの攻撃受けてるもん」
「……腕、ごめん。痛むなら、介抱しないと……」
「大丈夫だから影さんはまだ寝てて。僕は影さんに殺されてもいいけど影さんを置いて死んだりしないから!」
「…………それは別にいいや」
「ひどい!?こんなに僕が熱愛しt「影目が覚めたのね!」」
「まったく……教室も器物破損がひどいな……今回はお前じゃないからお咎めはないが……」
「傷のデータを取りたい。見せろ」
「なんでこうやって邪魔されんのかな!!?」
「…………ふっ。よかった……」




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