【狂者】
誰もが言う。狂っていると
快楽を何時も求めていて楽しいと思ったら何度でもやる。例え、人を殺すことでも
どんなことでもゲームと称して遊ぶためかお気に入りの相手はオモチャ扱い。だがオモチャに認定されたら最後。壊れるまで遊び続けられるだろう
忠告というならば、ゲームに誘われてもノらないことが賢明。できればの話だが
この町一番の実質的権力を持ってるヤクザの頭で、【無情】とは双子



我に返り手に力を込める。何かの固い音の後にオレの首から手が離された
首絞めから解放のあとは肺が機能もしないくせに酸素を求めるせいですっごい苦しい。むせる
ゲホゲホ咳をしながら落ち着くのを待つ

「痛いな〜。バケモノと人間の力は違うんだから手ぇ離してくれない?それともそういうのに目覚めちゃった?」
「ゲホッ……いみっわかんなっ、死ねっ」
「先輩に向かってそれはないんじゃないかなぁ?」

そう、三人目の留年してる先輩はこの人
苗字が狂乱、つまりは勇士先輩の双子で遊也先輩という。確か、遊也先輩が兄なんだっけっかな?

現実逃避にんな事思いながら息を整える
何もしてこない先輩はどっからかイスを引っ張ってきて机を挟んでだけどもオレの目の前に座っていた
何とか苦しさとか痛みが治まり、やっと普通に先輩に向き合う

「いきなり人の首絞めてくんなんてキチガイにもほどがありますが?」
「バケモノが人間ぶんないでよ。でも君が苦しかったってことは君は首絞め程度死んじゃうバケモノってことかな?」
「……オレは、化け物じゃない」

睨めば先輩はこれまた楽しそうに笑う
変態ですか?マジキモイ
さっさとこの先輩から逃げたいけども今逃げたら嫌な予感しかしない。ここは動かずこのままなのが良いのか?

気分は最悪になりながら先輩を見る
先輩はオレじゃなくて机の上の二つのポーンの間にキングを置きながら見ていた

「……何、してんすか?」
「王様ってさ、何が強いのかな?」
「は?」

先輩は今度はキングではなく二つのポーンを片手で器用に持って、それらをキングに当てる
何も留めておくものがないキングはカンカンとポーンが当たるたびに少しずつ動いていく

「権力?財力?血筋とか?知能かな?どれが一番いいから王様は上に入れるのかな?くすくす、武力がない王様はすぐこうなるのにね」

先輩が言うと同時にキングが机から落ちた
コンッ、と音がしてなんとなく傷がついたかもなんて自分のじゃないのに思ってしまった

先輩はそれを拾うとせず二つのポーンを机に置く

「……で、何が言いたいんですか?」
「騎士は忠誠を誓うから好きじゃないかな?兵士は好きかもね。一番弱いクセに重大な役目を握れるから。けどそれは――」

――サクッ

先輩の戯言に厭きてきて頬杖をしていたら顔スレスレに上から細い物が落ちてきた
それは、キラリと銀色に光りを反射する

「君だから、僕は武力を持ったキングとして君に制裁を加えようかな?」
「っ!!」

イスを蹴って急いでしゃがむ。頭上で何かが風を切った
次にでんぐり返しのように床を転がって距離をとる。ざくっと木材を切る音がした

体勢を立て直して跪くようにして先輩を見れば、オレがいたところには一本の日本刀が刺さっていた
それは先輩が愛用している刀で、名前付きだった気がするけど忘れた。銃刀法違反?先輩はヤクザでもあるし第一、国の人のつながりもあるらしいから先輩は例えどんな違法をしたとしても逃れられると思う

「くすくす、ねぇゲームをしようよ?隠れ鬼ね?僕が鬼だからぁ……捕まったらおーわーりー」

勝手に始まったクソゲームは
拒否権とかなんて無視して始まった





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