ヘビに睨まれたカエルのように動けていないと、校門の方からエンジン音がした
微かなラッパの音も聞こえる
先輩から目が離せなかったけれどもそっちも気になってなんとか先輩から音の方へ視線を移した
そこにいたのは
なんか読みにくい漢字だか何だか、とりあえず字が書いてある旗をなびかせ
この御世帯CО2出過ぎで困ってるって言うのに排気ガスバンバン出して
公共の害にしかならない騒音まき散らしている
簡単に言うと暴走族みたいなバイク集団がいた
……確かにこの状況打ち壊して欲しいとか思ってたけどさ
なんでこれ!?面倒なんだよクソが!!
「おいここに一番強ー奴がいるんだろ!!」
「俺たちはそいつにあいさつしに来たんだよ!!さっさと出しやがれ!!」
うるせーよ!!今何時だと思ってんの!?他クラスじゃ勉強してる努力家だっていんだぞゴラァ!!
なんなんだよあいつら!初めてみる旗やマークだな……新手か?んな情報もらってねーぞ
今まで固まっていたのが嘘のように柵によって下を見る
人数多過ぎ……やんの面倒……
なんかいろいろ呆れてため息が出た
「……いい暇つぶしじゃねーか」
「は?――」
黒い影がオレの横を通る
それは柵を乗り越えて屋上から飛んだ
「!!」
手を伸ばしたけども無意味の様で黒い影――勇士先輩は落ちていく
本能が大分離れた赤色に安心でもしたのか視界はいつもの色になった。でも安心なんてできない
掴めなかった手が空で拳を作るだけ。……その少ししか見ないようにしてるけども赤色が、大きな音を立てて地面に着いた
………うん、着いた
「あー痛ぇ。めちゃくちゃ痛ぇ。けどやっぱ屋上から跳び降りんのもいいよなぁあ!」
大きな声でまるで怒号のようだけども確かに笑っていた
スイッチが入ったんだとか、あの人よく無事だな!?とか、とりあえず頭はごちゃごちゃ
「んだてめぇ!」
先輩の跳び降りたところを見ていないのか変わらずの大きな声で叫んでくる一人がバイクから降りて先輩に近づく
ここからは遠くでわかんないけども、あの先輩が、無表情ともいえる先輩が
笑ってるのは確か
「くくっ、ははははははははっ!!」
只の笑みだったのに笑い声が先輩から出る
それと同時に近くにいた奴は先輩に頭をわしづかみにされて地面に陥没させられた
コンクリのはずなのに、柔らかい物のように凹む。先輩が手を離しても起き上がらない男の生死が不安だ
一瞬のことで何が起こったのかわからないようで固まってるバイクの奴ら
早く正常に戻れ!って敵なのに思うのは彼らの相手があの勇士先輩だからだ
笑みを浮かべたまま先輩は今度は視界に入ったのそのまた近くの男を横蹴りした。小さく声を漏らしただろうけど聞こえなく、男は数メートルも先のほうに飛んでく
やっと異常事態に我に返ったのか、男どもが先輩から離れた
けど遅い
先輩は片手で一人の頭を掴み、もう片方の手で同じ掴みその男どもの頭をシンバルのように勢いよく叩いた
ずるりと力なく地面に落ちていく二人
その状況下で一台のバイクが先輩に突進していく
轢き殺す気か!?
音で先輩がそっちを向くときにはもう先輩の真ん前
轢かれる!!と思ったのも束の間。どうやったのかバイクごと先輩は持ち上げて遠くに投げ飛ばした
……マジありえねぇ
「おいおいおいおい!!?まさか終わりかよ!つまんねぇえ!!もっともっともっと壊す潰すぶっ殺す!!!」
無邪気な子供のように
殺すことになんの躊躇いもなく下ろされる拳
楽しくて楽しくてしょうがない
そんな子供みたに戦う先輩
やっぱり関わりたくない
あの標的にたまにでもされてしまうのは嫌だと
改めて心に刻んだ
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