今日は現たちも上手く撒け、弁当はなかったので食堂で済ますことにした
食堂は広くて飯も安くてうまいが、基本一般レベルとかオレの舎弟(仮)たちは来ない
理由は簡単だ。ここを利用する人たちがそれなりに格が上だったり、どっかのお偉いさんのご子息ご令嬢または孫だから
理事長はみんな仲良くって考えだからごちゃ混ぜにするけど、まぁ、なんていうの?本能とかの拒絶とかなんか行きづらいんだろうなぁ
購買とかが別にあるのでそっちの利用が主だろう

ざわめく周りを特に気にせず列に並ぶ
……並んだのに前に行かされた。……また、前

「……珍しい……」
「S組の……」

……悪かったな。S組の人間来て!
S組でもオレはただ頭とか体力だけだし、精神異常ってわけでも特別金持ちってわけでもないのに……
朝霧の苗字なんて、もう意味なさないんだよ

買ったチケットと交換して牛丼と交換する
やっぱ肉だよな。そんでもって紅ショウガ、っと
青のりを乗っけて開いてる席を探しに行く。……故意に開いてる席があるんですけど。テレビの真正面

食堂には大きなテレビが壁に掛けられてて(埋め込まれてるのか?)経済のニュースやたまにはバラエティの番組をやっていることがある
オレが外から見るとき生徒がいっぱいいるのに

誰も座る人はいないのかと辺りを見回す。……目を逸らされた
オレと同じ状態の人に声をかける。……怖がられて後退された

……いいもん。一人で食べるもん
ポツンとテレビの真正面に座り牛丼を食べ始める。おいしー。さすが食堂の
でもオレの不動の一位は購買の焼きそばパンだから

本日の番組は歌番組のようで、あの昼時のをやっている
オレは音痴に近いからこういうのに出れる人は尊敬できるぐらいだよなぁ
……お、大きい肉あった。ラッキー

『――では、ここで出場者の方に応援として今この業界で話題の方がに来ていただきました』
『こんにちはー』

ピタリ。そんな感じで体が固まる
ポロリと掴んでいた肉が箸から落ちた

『いやー、今日も素敵な服装ですねぇ』
『はい。この服装選んでくれた方とは友達なんです』

体が恐怖というより拒絶し出す。一分一秒もこの声を聞きたくないと震えだす
ああ、でもご飯が――

『それでは応援の方を『あ、すみません。ちょっといいですか?』はい?』
『テレビの向こうにいるかわからないけど、私の大切な友達で正直なことを言ってくれる方ー、これ終わったらそっち行くから待っててくださいねー』
『あ、えっとすみま――』

よかった。本当によかった
ご飯を気にしてここからすぐ逃げなくて
逃げてたらオレは午後の授業を受けるところだった

金縛りからとけたように我に返って急いでご飯を胃に詰め込む
本当は味わって食べたいけどそんな余裕ない

「ごちそうさまでした!」

食器を戻して教室に走っていく
ここから教室までちょっと時間かかるんだよな
早く、速く、今日はもう早退しよう





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