【マッドサイエンティスト】
自分の好奇心に忠実であり、知ろうと思ったら最後、それが形を失うまで調べようとする
何時も理科準備室に籠っているが出てきたら自分の興味を引いたものを連れ去る
IQは200を超えるのではといわれているが、専門は解剖。白衣の下にはメスを隠し持っていて、いつでも人を解剖できるようになっている



……なんか他にもあった気がするけどよく覚えてないな
確かに理科準備室はもうこいつの私室みたいな物だからそこらへんにこいつの器具がある
まあ大半はよくわかんないガラクタと紙で埋もれているけど

「なるほど。また貴様らのよくわからない逃走劇か」
「劇はつけなくてもいいと思うぞ」
「コーヒーはいらないか?」
「言葉のキャッチボールしろー。オレお茶がいい」

なんて軽い会話できるし、特に危険人物でもないんだよなぁ。現やカトちゃんと比べたら無害だし
……にしても、また随分と変なのが増えたな。たまに避難させて貰えてるお礼に掃除してやるか?でも他人に触られたくないとかありそうだよなこいつ

「お茶だ」
「お、センキュー」

はぁ、和む
年がおかしく感じるほどオレの精神老いてるや

「……」
「? ハッカーは飲まんの?」
「自分の湯呑みを洗っていなかった」
「ふーん」

理科準備室に洗い場あるけど、あれ器具とか洗う場所だろ。キッチン扱い?
ハッカーの入れるお茶は美味しいなぁ。こいつ曰く、ちゃんと計っているからとか言うけど……いや事実だけどさ、ビーカーとかメスシリンダー使うのはどうだよ?
見た目怪しい緑の物体煮込んでるみたいだっつーの

ごそごそと今度は(なぜかある)冷蔵庫を漁り出したハッカー
何してんだ?

「和菓子も食うか?」
「マジで!?」

ハッカーが出したのは見た目めっちゃ高級な和菓子
オレは洋菓子も好きだけど和菓子は特に好きだと思う。ちょっと固めのサクサクしてるやつが一番和菓子の中で好きだ!

モグモグとハッカーからの和菓子を食べる
美味しい〜

「……貴様は相変わらずの異常だな。いや、あえて化物と呼ぼう」
「やめてモグモグ化けモグモグモグ嫌いズズッ……あー、美味しかった。ごちそうさまでした」
「ほう、化物でも事実は認めたくないのか」
「だから………!!?」
「即効性のものがやっと効いたか」

身体が、痺れる……なんだこれ……
口から声が出ない。息はできるだけマシ………いやマシじゃない!

湯呑みがオレの手から落ちて割れる。オレはテーブルに上半身が倒れた
何が起こったかわからずハッカーを見ようとする。けれど顔すらも動かせず、精々目だけだ
目だけじゃ見えなかったのにハッカーが視界に入った。移動してきたみたいで、何故か手には紙の束とシャーペン

「即効性のものでも量が少なくては体にまわるのは遅いな。お茶と和菓子、一体どれぐらいの量だ?ちゃんと計っていれば良かったが……まぁいい。化物にも効いたというデータが今回はとれたしな」
「はっ………てめっ……」

さっきの独り言でわかった。こいつ、オレに盛ったな!しかも痺れ薬だと?ふざけんな!
体がこの状況に慣れつつあるのか、口と声が段々と戻ってきた
そんなオレをハッカーは興味深そうに見てくる

疲れきってる目の中に見えるのは好奇心の塊。人を見てるはずなのに、その目に映るオレはただの生物の一部にしか見られてない気がしてきて居心地悪い
クッソ。最初に言ったこと撤回させろ!

「流石だ。もう口が開けるのか。実に興味深いぞモノクロ破壊者。その調子だと未だに傷や体への異常は自己回復で治してると見た。貴様の中には働く回復力は一体どうなっているのだ?是非とも解剖して脳細胞から神経まで調べ尽くしたいものだ。神経と言えばあの奇妙な目の病気はどうした?いくら化物の貴様でも長く発症させていたのは治らないのかまだ見えるのだろ?貴様しか見えない白と黒だけの世界。できるのならば俺も見てみたいものだ。だがその色だけで化物である貴様がどうなるかもこれまた見物だ。貴様と言えとも元は人間なのだから精神に異常をきたらすことになるのかもしれん」

独り言なのか。それともオレに言っているのか
どっちでもいいけどヤバいと言うのはよ〜くわかった。ハッカーの目がジッとオレを見たままだからおかげでわかりたくないものまでわかっちまった

ハッカーの目に現れ出した狂気
純粋なまでもの疑問により好奇心を生み追求するそれはおかしいとオレの本能が告げ出す
逃げたくて逃げたくて、手を無理矢理でも動かした

「今度は手か……素晴らしいぞモノクロ破壊者!その人間離れした身体、今ここで解剖してみよう」

キラリ、ハッカーの手が光った。光ったのは手じゃなくてメスだとわかってしまった
怖い。痛いのはイヤだ
その感情が強いからか体が震え出した

「む、体が震える……ああ、『恐怖』か。なるほど。朝霧影という化物でも恐怖は感じる、と……また新しいデータがとれた」

嬉しそうに微笑むハッカーに余計な焦りが生まれる
早く逃げないと。痛いのはイヤだ。怖い怖くない怖い痛いの怖いイヤだイヤだイヤだ!!





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