「はぁ……はぁ……」

走りに走った結果、何故か体育館裏に来てた
……うん、なんでや。おかしいだろ。上に上にと自分のクラス目指してたんだぞ?
そういえば途中で変な浮遊感がした気が……もしかして、上から跳び降りちまったか?

そう考えると癪だけど納得がいくなぁ
どうしようか……今さら校舎内行く気もないし……でもサボると単位が……

「…………で……から……」
「……け…………い……」

ん?なんか声が聞こえる

ここから行って角を曲がった場所もある意味死角だ
そこではたまに呼び出しのケンカや作戦会議などが行われていたり、他のことでもあまり良くない事に使われている
なんで詳しい?……経験済みの人間デスカラ

気配を消してそっと声の方に行く。気配は……数人か
近づいても上手く会話(?)が聞こえなかったので聞き耳を立てた

「マジでやるのかよ……」
「当たり前だろ。あいつがいる限り勝手なんてできないんだ」

はいアウトー
誰かの死亡フラグの会話だったぜ。声からして男で、うちの生徒なのは確実
防犯セキュリティ高いうちの学校に潜入する不審者なんて、誰かが糸引かないと無理だから

にしても……誰の死亡フラグだ?まさかオレじゃないよな?
最近は舎弟(仮)達が大分強くなったからある程度はあいつらが処理するし……他に恨み買われる奴いたか?

「よし、そんじゃ今日の放課後だ」
「上手く孤立させるんだぞ。相手はあの堅物風紀委員長だからな」

……え、まさかのまさかでよっちゃん?いやまぁ、確かにあいつのウザさはイラって来るけど……
よっちゃんは仮にも異名持ちだからたかがケンカで負傷なんてしない
しないんだけど……………

うんうん唸って、けれど俺の頭はこういう時バカだからいい案なんて思い浮かばない
だからオレは考えるのを止めて出た

「悪巧みするには、まだ時間が早くありませんか?」

他に思い付かなくてとっさに出たセリフに視線がオレに向いた。おうおう、ご丁寧に密かな殺気付きじゃねーか
いたのはやはり数人の男で、顔を見渡せばオレの配下(?)には入っていない不良やあまり見覚えがない奴がいる

「……『モノクロ破壊者』か」
「何時から……」
「途中からだけどお前らの話は聞いてた。よっちゃ……義清を倒すってな」
「……貴方もそう思いませんか?」

あまり見えてなかった集団の中からオレに疑問を問い投げ、歩み出てきたのは少しだけ見覚えがあった
てか、あいつが持つ腕章って……

「風紀委員……」
「貴方だって毎回あのルール馬鹿に追われてばっかりで、いい加減腹が立ちませんか?俺たちと同じで不満を持っているでしょう」

オレの呟きなんて気にせず話すのは確かに風紀委員の腕章をつけてる男。顔もよくよく思い出せばよっちゃんの隣側に控える奴じゃなかったっけ?
残念ながらオレは人の顔とか名前覚えんのが何故か死ぬほどできず、覚えてるのは数えれる程度。だからどんな奴まではわからない

オレが何も言わない間も続く言葉言葉。息継ぎしてんのこの人?
聞いてるのも面倒になってきたせいで、半分以上聞き流した

「―――で、貴方も俺たちの計画に参加しませんか?」

やっと主題来たー。いやー待った待った
話長すぎだろこいつ。言いたいことはさっさと言えよ

「断る」

このオレみたいにさ
即答の拒絶に少しだけ表情を崩した風紀委員にオレは構える

「確かにオレはよっ……義清に毎回毎回追いかけ回されてイライラするよ?けどなぁ、文句や言いたいことを面と向かって言えない奴に、義清を襲う資格ねーよ」
「ちっ……」

小さな舌打ちをして集団の中に戻っていく男
それが合図ぬように男どものフインキが変わった。殺伐とした、変な緊張感がオレらを囲む

やっぱりこうなるのか
その緊張感に感化されたように視界に映るもの全てがモノクロになった

「さてと、オレに勝てる奴はいるのかい?」
「勝てなくとも捕獲して説教する気はある」
「………はい?」

今にも戦いが始まりそうなフインキに出たオレの質問に返してきたのはオレの背後にいつの間にかいる奴
……てか、めちゃくちゃ聞き覚えるフレーズ単語なんですけど……

ギギギ……となりそうなほど嫌々ながら首をゆっくり後ろに向けると

「朝霧影を追っていたら他の違反者にも出会うとは………お前ら全員、強制連行だ!!」
「なんで本人いんだよ!」
「お前が窓から飛び降りたから追ってきた」
「うっわ、すっげーラブとか甘いのがない逃避してた」
「お前のことだからここに身を隠すと思ったぞ」
「隠す気なかった「お前ら無視してんじゃねぇ!!」あ」

ついよっちゃんのせいで忘れていた男どもの一人が蹴りをかましてきた
オレは避けようとしたが、しなくてもよかったみたいだ

ガチャンッ

男の足に手錠の片方がかかる。その片方はよっちゃんが持ってるみたいだけど、どうやってか男の蹴りを反対に引いて止めてるようだ
……つか、どんな力使って手錠と片手だけで相手の行動とめてんのあいつ?

「動かな……!」
「……お前は確か、去年の秋に校内での喫煙をしてその灰を廊下に落とした奴だな」

睨むように男を見てよっちゃんが言ったことは、『よく覚えてんな……』と呆れよりドン引きだ
いやオレの記憶力皆無なだけだろうけど……

「そこの奴は先月、銅像に傷をいれた。お前は5日前に登校時に一人の生徒に怪我をさせたな。そっちのーー」

続く続くよっちゃんの違反者確認
正直こいつ記憶力も異常なんじゃね?と思ってしまうほどずらずらといい並べた
そして最後に、集団の中にいた風紀委員に目は行く

「……お前か。なるほど、お前がこいつらを仕切っていてもあながち疑問はない」
「ち、違います委員長。俺はこいつらに……」
「風紀委員の配置漏れ」

よっちゃんは今度は何言ってんだ?
言った内容がよくわからず、よっちゃんの顔を見る。よっちゃんは冷たい目で風紀委員の男を見ていた

「ここ最近、風紀委員の情報が漏れたりしていた。大体目星は出ていたがわざわざ自分から尻尾を出すとは……手間が省けた」

言い終わると同時に、片手の手錠を引く。当然のごとく捕まっていた男が倒れた
……つか、なんで今まで動かなかったんだよあいつ。バカじゃね?

オレの呆れなんて関係無く、よっちゃんがジャラジャラと数えきれないほどの手錠を出す
相変わらずどこにんな量の手錠入れて持ち歩いてんだよ……
ソッと、今から始まることが嫌で後ろに下がった

「覚悟はできてるなお前ら!この俺自ら制裁を下す!」





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