学校の通学手段は基本徒歩
そのため学校近くのアパートの一室を借りてる。世に言う一人暮らしだ
水道とか電気とかはなるべく節約。隣人関係は……スルーで

携帯のアラーム音が鳴ったら起きる。けど二度寝
これは五分間隔ので設定しておかないと早起きができないのだ。……別に低血圧ってわけじゃないんだけど

頑張って五時起床。布団から這い出て、洗面所で顔を洗う。洗うついでに鏡に水をかけた
着替える前に朝食をするのがいつも。けれどその日は頭が冴えてなく、着替えを先にしてしまった。これにため息
朝食は……時間ないし牛乳とパンでいっか。食べ歩きは行儀が悪いので座って食べ終わる。……あ、牛乳が口からこぼれる。ティッシュティッシュっと

さて大分頭もいつも通りになったので学校に向かおう。カバンを持って学ランを羽織り、外に出た。が、段差につまずき転ぶ。……今日はついてない





『おはようございます!!』
「……頭痛ぇ」

何が悲しくて自分より身長が高くごついヤロー共にあいさつされねーといけないんだよ!
周りの目線イテーよ!もうヤダ!また女子が離れていくよ!

「朝っぱらから大変だな、番長」
「紅ノ原……テメー止めろよ」
「こいつらがしたいって言ってたから」
「止めろ!」

大きな声で言うが紅ノ原はどこ吹く風のように気にしてない。こいつ……マジ頭蓋骨粉砕してやろーか?

イライラしながらとりあえず近くの奴らに目をつけ八つ当たりする。つってもなんか手合せしたいって言ってた奴ら中心だから気にしないんだけど
殺気にも似た尊敬と畏怖の眼差しを周りから受けていると、紅ノ原がボソッと呟いたことに顔が引き攣った

「そろそろあの御曹司が来る時間か……」

ヤバい
急いで校舎内に入ろうとすると、校門前から女子の黄色い声が上がった
つい反射的にそっちを見ると、ほぼ全校女子が集まっているのではないだろうかという中心で、日本人離れした金髪(っぽい)のが見えた

「おはようございます境希様!」
「うん、おはよう」
「今日も麗しいです!」
「今日もみんな可愛いよ」
『キャー!!』

微笑まれたら誰もが虜になるだろう甘い笑みを浮かべる美男子にオレは鳥肌がたった
いやまぁ、なんかイケメン滅びろ思考あるから当たり前なんだけど。それ以外の意味での悪寒が走る

そいつは女子に囲まれているのにも関わらず、オレがヤロー共の中心にいるのにも関わらず
きょろきょろしてたと思うとオレを見て泣きそうな、でも嬉しそうな顔をして走ってきた

「ひっ……」
「影さんおはよ!」

さっきとは違う優雅じゃない元気なだけのあいさつ。オレは引き攣った顔で「……おはよう」で返す
たったあいさつを返しただけなのに、そいつは微笑む。少しだけ赤い頬に優しい笑みっていうのか?それを浮かべているのを見た女子が何人か倒れた

そしてそいつはオレと、オレの近くの奴にしか聞こえない音量で言った

「今日の下着は青色なんだ――」
「死ねええええええぇ!」

ぶん殴っても笑ってるあいつはキモすぎる




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