下駄箱で靴を変えるとき、絶対自分の場所は開けない。オレは上と交渉してるから複数の入れ場がある
今日は勘のままに五番目のオレの下駄箱を開けた。そしたら勘はあまり働いてないようで、開けた下駄箱の中には色つきの煙みたいなのが渦巻いてた
ヤバイ。そう思って急いで閉めたが少しだけ嗅いでしまった

途端、血が逆流したように、ってこんな表現合ってるかわかんないけど体が熱くなってきた
息切れもする。頭もボーッとしてくるし体は怠い
ちっ。色は確かピンクだから盛られたか

脳裏に変態二名が浮かび上がり殺意も増す。最悪最悪最悪!

心の中で叫びながら違う下駄箱を開けて上履きに履き替えた。今度のは何も仕掛けられてなくて安心した
怠い体を叱咤し、ダッシュで自分の教室を目指した。別にMじゃないけどオレが叱られないと舎弟たちが迷惑する
それはいろいろオレが嫌だ

「ふむ……それなりにキツいのを渡して仕込ませたが平気、か」
「げっ」

時間が惜しいこのタイミングで現れたハッカー。後ろには廊下にギリギリ収まるぐらいの大きなロボットみたいなのがあった

「邪魔!」
「さてこの機器はどれぐらの威力を発揮するやら……」

オレの文句なんて聞いていなくハッカーは何かのボタンを押す。すると後ろのロボのアームが動き出した

「まずは殴る……だな」
「クソがッ!」

人間の指を模にしたような手が拳を作りオレめがけてくる
跳んで回避。アームの上に乗って駆け出し頭みたいな部分を蹴った
思いっきりしたら痛かったけど頭の部分は壊れた。その証拠に頭部は蹴られた反動で廊下の奥にすごい勢いで飛んでいく

「ああ。頭は破壊されても内部に核があるから平気だ」
「ふざけんな!」

オレの行為無駄じゃん!そう思ってると確かにまだ動く片方のアームがオレの上から手を振り落としてくる
舌打ちをして避けて、その手の上から思いっきり踵落としをくらわせた

メキッて音がした。ベギベギベギッて音もしだして、ロボの重心、中心核はぐっしゃに潰れた
よくよく見ると煙が出てロボが動く気配はない

「むっ、また改良の余地が必要か」
「んなの改良すんな!」

ブツブツまだ何かいってる奴はもう無視して床を蹴って走り出す。時間がないぃいいい!!

階段を何段か跳ばしながらかけ上がっていくと、嫌な予感がして横にずれた

「ふぎゃっ!捕獲失敗ぃい〜」
「何やってるのさ!影さんはただでさえ動物的本能が強いんだから気を付けてやってよ!」

ギャーギャー騒いでるのは変態二名。二人の手には大きな虫を捕まえるときに使う網が握られていた

「……なにやってんだよ。テメーらの相手してる暇ねーんだから」

体に渦巻く熱さを変態二人に悟られたら厄介だ
頬を伝う汗を手で拭い、息を吐く。体が熱いからか息も熱い

ただそこなことをしただけなのに、変態二人は本当にキモイほど洞察眼が冴えていた

「影さんもしかして……五番目のを開けたんだね!」
「きゃー!そけじゃ今の影は出来上がっているってことね!」

下ネタの類に似たことを言う美人はとっても残念だと痛感した
てかなに二人して頬染めてんだよ!おい後ろに見えるふりふりした服なんだよ!?他のおかしな服もあるんですけど!

「影、大人しくしなさい」
「そうすれば痛いことはしないから。……あ、でも一瞬だけ痛いかも」

さっきとは打って変わって真面目な顔つきになる二人。頭の中とか言ってること残念すぎるけど
こいつらどんだけ変態なんだよ!オレの貞操は守るからな!

一生の屈辱と一瞬の屈辱。どっちを取るかなんてもう前から決まっている
どちらにしろオレの黒歴史に刻まれるんだろーけどな

オレはジリジリと距離を縮めてくる変態二人を睨みつけてる(つもり)
そして音をワザと出しながらベルトの前だけを外した

「「……え?」」

突然のことに目が点の奴らを無視してワイシャツの裾をズボンから出す
下から二、三個ボタンを外し、お腹がギリギリ見えるぐらいにした。うわっさっみ。暑いから空気が触れたせいで冷たいのが寒く感じる
やべー。風邪ひくかも

なんて関係ない事を考えながら前に手を出して変態の一人、現を見て言った

「い、いいよ?」

中性的と言われがちの声をロリータボイス(だっけ?)にする
目は死んでたと思う。もうヤダ……でもこうもしないと逃げ切れねー……
早く終わんないかなーって遠い目をしてたら「ぷほっ!!」っと言う声がして何かが噴出する音がした

途端視界がモノクロになる。おかげで何が起きたかよーくわかった
床に倒れ伏せた変態に呆れ、素早く移動してもう一人の変態、カトちゃんの背後に抱きついた。やばっ、ズボン落ちる!
身長差がありすぎるので頑張ってカトちゃんの耳元に口を寄せる。今度はなるべく低い声で言う

「……で、誰が誰をヤるって?」
「……あぅん」

腰が砕けたのか、膝を床につけるカトちゃん。体はプルプル震えているようだけども詳しくはわからん。てか知らんでいい
オレはさっさと服装を戻す。何事もなかったように戻った

とりあえず

「変態がオレに勝とうなんて百万年はえーよ!」





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