「……あいつらは……どこに行ったんだ!!」

学校の一室。数える程度しかない机やイスがある教室で一人の男子生徒が叫んだ
その顔立ちや、髪の色はどことなくあの女子生徒と似ていた。最も、よく見ないとあまり同じとは言えないが

「……はぁ」

叫んだ男子生徒に非難の視線を送るのは、何故か手錠を付けられ、足首とイスの足さえも手錠で離れないようにされてる白衣の男子生徒
メガネをかけていてもわかる目の下の隈は何日も寝ていないということを物語っている

「確かにチャイムは鳴った!朝のHRが開始するために!なのにあいつらは来ない!おかげで俺の予定は今日も狂う!」

遅れてる、つまり彼ら以外の空いてる机についていない人達にいったのであろう。苛立ち気な表情を隠そうともしない男子生徒に白衣の男子生徒はまたため息をついた

「ああくそっ!このマッドサイエンティストを捕まえる前にあいつらを捕まえておくべきだった!」
「……誰がマッドサイエンティストだ」

ため息ばかりついて男子生徒が否定のように声を出す
射殺さんとするほどもう一人の男子生徒を睨んだ

「俺はただ好奇心と己の感情に正直なだけだ。人を知りたいと思い、またはその異常なまでの何かに興味をそそられ自分の欲求が収まるまで――」
「そういうのをマッドサイエンティストって言うんだよ」

声を荒げたりせず呆れた声で白衣の男子生徒に言い、今度はこちら側の男子生徒がため息をついた
それでも白衣の男子の説明のような言葉は続きながら出てる

さすがに怒り疲れたのか、白衣の男子生徒を無視してイスに座ったもう一人男子生徒。黒板の上にかかっている時計はもうすぐでHRが終わる時間をさす

「……あの先輩方は先輩方でどこに行かれたんだ……」

小さく呟かれた言葉は、白衣の男子生徒のまだ続く声に掻き消された





――場所は変わり、学校の屋上
青空が広がる下でカラフル色の髪の三人の男女がいた

「ねー、さっき鐘鳴ったの?」
「……」
「鳴りましたよ!まったく、聞いてないとダメじゃないですか」

オレンジ髪の男子生徒が声を上げ、その返答に青髪の女子生徒が答える。赤髪の男子生徒もいるが、目を瞑っており寝ているみたいだ
地べたに座り、誰とも対局していない簡単なチェスゲームのが置かれている。白の方はオレンジ髪の男子生徒の方を、黒の方は赤髪の男子生徒の方を向いている
青髪の女子生徒だけはドアの上の方で足をぶら下げながら座っている

「あの歪な音って聞きたくないんだよねー。てか理事長嫌いだし」
「そんなこと言っちゃ、メッですよ」

男子生徒がニヤニヤ不気味な、警戒心を煽る笑みを浮かべながら言ったことに女子生徒が演技がかったような怒り方をする
特に男子生徒は気にした風もなく、白のキングを手に取った

「そういえばこの前さー、喧嘩売ってきた会社があったんだよねー」
「ええ?それは随分と命知らずですね!」

満面の笑み、と言うのだろうか。そんな表情をして女子生徒は驚いたという口調だ
笑みを絶やさない男子生徒はただ白いキングを手で弄ぶ

「だってだって、皆知ってるんじゃないですか?誰が裏社会で一番の権力を持ってるのかをってぐらい!」
「んー……たまにつけあがる輩がいるんだよ。ま、でも――」

イタズラに弄んでいた白のキングを持ち直し、男子生徒は黒の駒を全部壊す勢いで白のキングを当てた

「――オモチャにもなんないからすぐ壊しちゃった」
「さっすがですぅ。そこに痺れる憧れるー、でしたっけ?」

傍から見れば危険で、おかしなことを言ったのに両方とも笑う
それが彼らにとっては普通なのだというように







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