コラボ 裏舞台

後日談ですよ 勇士視点

※ヒロ様との『後日談ですよ』の小話



何もしたくない
一番多く思うのはそれだ

自分でもよく思うけども、俺は常にやる気がない
それは俺の性格で、本質で、生まれる前から決まっていたことなんだと思う。そう思うのも、似ていない俺の片割れが話してくるのが一番の要因だろう

そんな俺だから、何事に対しても無関心でいることが多い

『♪〜♪〜』

自分が持つ携帯から一度も変えていない電子音が鳴る
ゆっくり、切れても別にいいかと動かし、取る。運がいいのか、音が切れなかったからボタンを押した

「……」
『やぁやぁ相変わらず無口だねぇ。せめて僕がわかるように声を出そうとは思わないわけ?』
「……」
『くすくす、まぁ君がそんなんだからもしもこれが君以外に渡ったとしてもわかるんだけど。それよりも君にしかできない仕事だよ』

仕事
俺に回ってくる仕事なんて、それなりに面倒なんだろう
いつからかヤクザの家系になったうちの仕事だ。しかもオレに回ってくるのは当然裏社会関係のだけども、偵察や調査なんて細かい事じゃない

血が纏わりつく、簡単な仕事
ただ相手を潰せばいい

「……いいな。どんな仕事だ?」
『おお?声が楽しそうだね』

楽しいのだろうか?楽しいのかもしれない
よくわからない激情が競り上がってくる。外に出したく、爆発したいと思うほどの激情
こんな時は、無関心とか無感情とか、そんなのはない

「潰せるなら、お前の言う楽しい≠だろ?」
『…………くすくす、そうだね』

片割れがどんな顔をしているのか、電話越しでも容易に想像できた

* * *

『実はとある町にマフィアの頭がいてね?ちょうどいいから潰せるなら潰してきて。いい暇つぶしでしょ?』

拒否権というものがまるっきり存在していない片割れの指示である町にいる標的を探す
別にあいつのあの性格は一緒にいるころから知ってるし何とも思わないからいいけどな。時たまそれで俺の眠りを邪魔するのはムカつく

表通りは歩かず、裏道ばかりを歩く
迷路のように入り組んでる道は迷子になるかもしれないと思う。別になっても構わないとも思うが
少し行くと携帯が鳴った。そして俺の目の前には一人の執事姿の男

「…………おい」
「はい?」
「………………トウマ、であってるか?」
「……そうですが、どちら様でしょうか?」

当たった
ああ、こいつが

携帯が鳴った時点で当たってはいるんだが、片割れは確認も一種の楽しみだというからよくする
俺にとって喋ることは面倒なことだからやっぱり楽しいってのはわからない。こんなのに楽しいとは思わない

俺が楽しいと思うのはやっぱり
潰すこと

「死ね」
「!!」

何の前触れもなく攻撃するのは得意だ
前から知っているのかのように、体が動く。コンクリートも簡単に砕く俺の拳を男の頭めがけて振るう
が、拳は何にも当たらなかった。あの男の姿が目の前にいない

「なんですか。急に攻撃してきて」

少し離れたところで男が服の埃を払ってる
こいつ、俺の攻撃を避けた?俺の、普通の奴なら簡単に当たって最悪潰れるのに

「聞いてますか?僕も暇じゃないんですよ。この後アル坊ちゃんのご夕食をですね「……はは」……?」
「いいな……いいないいないいな!!おびき出すだけの相手だと思ったがいいなてめぇ!相手になれよ!!楽しめるよな楽しませろ!!」
「……二重人格かなんかですか?きもっ」

男の発言を気にせず走り出す
俺の攻撃を避ける男。それだけであの激情はまた溢れてくる
そう簡単にいないから。俺とまともに渡りあえる相手が

何度も攻撃して、何度も避けられて、イライラが募っていく
この感じだ。自分の思い通りにいかない、憤り。子供の安直な癇癪って奴に似ている
そうだ。俺は怒りで力が増すタイプなんだよ!!

「っ……」
「トウマ。状況を説明しろ」
「……あ゛あ゛?」

折角仕留めれると思ったのに邪魔が入った
黒いスーツの、無表情な奴。微かな甘い臭いがする

……んだこいつ……?
……赤目……じゃねぇ……けど……遊也が言ってたのと同じ……

それがわかった途端、体が先に動き近くにあった鉄格子をスーツの男に投げる
避けられたが別にいい。簡単に潰れたらつまんねぇからな

「どこの使いで俺のファミリーに手を出した」
「使い?ははっ、ちげーよ!俺は暇潰しにあんたを潰していいっていわれたんだよ!!俺もあいつも担当すんのが違うだけで同じ頭だから、なぁあああああああああああ!!」
「!!……ちっ」

さっきよりも一回り大きい鉄の固まりを投げる。それを軽々避けるスーツの男に俺は笑う
楽しい。殺したい。潰す。楽しい。殺す。潰す。潰す。潰す。潰す!!!

俺のどんな攻撃も避けて、銃を撃ってくるスーツの男はいいもんだった。片割れがいうオモチャという表現が合うぐらい
本当なら何時間何日かかっても潰そうとほぼ理性というものがない頭で思ったが、途中で乱入してきた電雷んとこの女と朝霧の弟と……あと一人誰だ?覚えてないがそいつらのせいで俺の熱は冷めた
おかげで潰し損ねたが、確かお気に入りは残してる方がいいと片割れのあいつが言っていたから今は特に気にしていない
飽きない相手ができたんだ。当然だろ?




「…………いつになったら、やれる」
「また侵入してきやがったのか。今度はどこから入って来た」
「…………鷹野、の……一人娘」
「あのバカ、買収されたのか……」
「…………(……今回も殺る気ねーなこいつ)」



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