予定
会い合い
「オヤ、珍しイ」片言の言葉はこの国の言葉じゃないのがわかる
そいつはどこか一昔の姿で俺の前に立った
「ひとリかい?」
「……俺以外、人がいるとでも?」
ここは普通なら誰も通らない裏路地
華やかな表から切り捨てられた世界
そこに堕ちたものは、皆虐げられる
何時何処で
誰が、どれぐらいの量の
命を落とすか
「ソの自嘲、何故スル?」
するりと白い肌におおわれた手が俺の頬を触る
人に触れられたのはいつぶりだ?いやそれよりもこの手……冷たい
その人とは言えない手に身震いする
男か女かわかんないそいつは、笑みを浮かべる
「フムふむ……頭ジョーでキ知識のイズみ。これはイイもンに出会ったワサ」
「……離せ」
「ノオノオ、名前はナんだ小童?」
「…………名前なんて、ない」
何時からか
俺はここにいた
ここにいて
俺は孤児だ
親も友も知らない
名前なんてもっての外だ
「名がナイなカナイ?……なら名前を上げよウ」
よくわからないけど
そいつは笑った
見たことも触れたこともない
温かい気がした
「そのヒカる目、薄暗いココではキレイさ。あかツキ……ううーん、アカツキ。発音できるからアカツキが君のなまエ」
結構適当だなって思った
けれどそんなのは冷たかったはずの手が温かい気がして
ただそれを受け入れた
『アカツキ幼少と拾い主』
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