雨の温もり
好き
だったのかもしれない
でも今の俺には
分からない
「綺麗な髪ですね」
夜のミッドガルを散策中
見知らぬ女が声を掛けてきた
「…………」
毎日丁寧に手入れをしている髪を褒められて
悪い気はしないが、無視して俺は先を行こうとする
「あ、ごめんなさいごめんなさい!!気に障ったのなら謝ります!!」
女は先を行く俺の前に回り込み
両手を合わせて困ったように笑う
近くでみると、中々綺麗な顔をしている事が分かった
「……なんだ」
「え…?…あ、いえ…最近よく見るから声を掛けてみたくて…」
夜風が強く吹き
俺の髪を靡かせる
「…今日は風が強いな」
「そうですね…」
俺はなも知らない女と夜風にあたり
他愛もない話をしていた
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「あぁ…消える…のか…」
「う、ぅ…」
「泣くなよロッズ」
冷たい
でもどこか温かい雨が降り注ぐ
--綺麗な髪ですね
生まれて初めて褒められたんだ
嬉しかったんだ
「お前の…名前…」
最後にそれだけでも
「知りたかった」
END
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