心配?嫉妬?
「陽!!今日授業出なかったら補習だぞ!!」
「いいのっ!!私はあの授業だけは嫌いなの!!」
魔導院内を全力疾走するエイトと陽
面倒見の良いエイトは、ほぼ毎日サボり癖のある陽の補習の心配をして追い掛けている
0組内でかなりの足の速さを持つエイトでも、陽を捕まえるのは至難の技だった
なので大抵
「ひゃっ!!」
「うわっ!!」
魔導院の誰かとぶつかって転んで捕まる
「いったた……ごめんなさいっ!!大丈夫ですか!?」
「あ、あぁ大丈夫だよ…君は…0組だね!!」
今回ぶつかったのは長身で白衣を着た眼鏡の男性
「へぇ…君も0組かぁ…その華奢な身体にどれ程の力が…」
「あ、あの…?」
ガシッ
「きゃっ!!?」
一人でぶつぶつと呟く"カヅサ"を怪訝そうに見ていた陽だが
エイトに襟首を捕まれた事で現実に引き戻された
「ほら、行くぞ!」
「いーやーだーっ!!」
「筋肉量を考えるとやっぱり男性が魅力的だけど、あの俊敏さもなかなか…て…あれ?」
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「本当にお前は…」
0組教室前でエイトは陽に背を向けたまま深い溜め息を吐いた
「だって勉強なんか出来なくたって…」
「俺が言ってるのはソコじゃない」
「んぇ?」
「アイツに近付くな…!!」
「アイツって…あぁ!さっきの眼鏡?
…なぁに?エイト嫉妬?」
ニヤニヤして背を向けるエイトの横から顔を覗き込む陽
「ち、違うバカ!!」
「おぉう!」
珍しいエイトの罵声
「ただ…少し心配なだけだ!!!!」
そう言って教室に入って行く彼ですが
顔が赤かったのは気のせいではないでしょう。
END
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