お菓子対談


 ある日の昼休み。私は変わらぬ休み時間を机の上で昼寝という手段で堪能していた時のことだ。

「キョンお前も食うだろ?」
「何をだ」
「聞いて驚け! 今ちまたで人気の期間限定たこ焼き味のスナック菓子、たこ焼きポンタ君だ!」

 たこ焼きポンタ君だと!?
 私は睡魔を頭から追い払い、頭を上げ谷口くんを見ればその手には今や人気すぎて手に入れるのすら困難なたこ焼きポンタ君が握られていた。

「ポンタ君!」
「名前起きたのか」

 キョンは谷口くんからたこ焼きポンタ君を一つもらっており。私は袋から出されるその魅惑の物体に目が釘付けになっていた。

「谷口くん、あの、私にもたこ焼きポンタ君一つちょうだい」

 隣から、スナック菓子を噛む音が聞こえ私の口の中には唾が溜まる。ああ、たこ焼きポンタ君。

「どうぞどうぞ! 名字さんならいくらでも」
「わーい! 谷口くん大好き!」

 私は手を合わせ、たこ焼きポンタ君に頭を下げ一つ摘まみ取れば。口の中へとほうり込み、舌で転がし、その味を堪能する。

「この柔らかさ、ソースの味、もう本当美味しい!」
「俺にはほかのたこ焼き味のお菓子と、さして味は変わらないような感じがするがな」

 キョンはもう一口、袋からつまみ出し口の中へとほうり込む。

「キョンのような中途半端に大人になった子どもにはわからないんだよ! このたこ焼きポンタ君の良さが」
「時々いるよな、そういう親」

 谷口くんはついにたこ焼きポンタ君をパーティー用に開け、私は一つまたつまむ。

「コンペイ糖の色違いを、多少だが味が違うのを一色単にされたりよ」
「そうそう。あとねるねるねーるねのあの楽しさをわかってくれなかったり」

 キョンは半分呆れたように、ポカンと口を開けている。

「コンペイ糖は着色されているだけで、多少味が違うような気がするのは視角の問題だろ?」
「だからキョンは夢がないんだよ」

 確かに、あれは着色料による色だが。多少なりとも夢をもっていてもよいではないか。

「まったく分からねえ」
「わからなくて、よし! 谷口くんと通じればそれでいい」

 私はポンタ君を思いっきり取り、口の中へとほうり込めば。口の中にはソースの味が広がった。
(2007 09/11)

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