寒空の下
「まるでだめな男さん」
江戸に浮かぶ雪雲はシンシンと雪をふらしていく。
私はマフラーを巻き厚いコートを羽織ながら、傘をさし雪をしのいだ。
マダオこと長谷川は、いつもと変わらない格好でぼーっと煙草をふかしながらベンチ座っており。
時折出てくる鼻水をすすり、見下す私に「なんだよ」と答えた。
「いつもいつも、ここに居るけど寒くないの?」
「お嬢ちゃん、それは居場所のない俺に対してのいじめですか」
いじめと言えばいじめかもしれないが、私は何も答えず、まだおの横に座り、空を見上げた。
「まだおさん」
「なんだよ」
「マフラーあげますから、風邪ひかないでくださいね」
マフラーを自分の首から外し、まだおに巻けば、まだおはサングラス越しに泣いているのか、また鼻水をすすった。
「まだおさんが居ないと、公園凄く寂しくなりますから」
雪はいつの間にか止み、太陽が顔を覗かせた。
そろそろ春も来るころだろうか。
(2007 03/02)