彼の名前2
「キョン!泉って英単語でレイクだって!」
「また、いきなり唐突だな」
「私は唐突が大好きなんです」
部室のドアを開け放ち足を踏み入れると、今日もいつものように定位置に座りトランプを持っているキョンがいた。
視線をずらせば、昨日はいなかった今回の話題の中心人物である古泉くんが、いつものように笑みを浮かべキョンと向き合うようにトランプを持ち座っている。
こんにちは古泉くん。
「こんにちは、それよりもどうかなされたのですか?」
キョンは自分の手札を眺めたのち、古泉くんの札に目を配り手を伸ばした。
「ああ、そうそう、古泉くんには言ってなかったんだけどね。私とキョンで今『古泉くんの名前を覚えさせよう会議』してたの」
「おい、待て。いつ、誰が参加した」
キョンは、文句言いたげに古泉くんから一枚札を取れば同じ数字のトランプを捨て肘をつく。
どうやら今ババ抜きの最中らしい。
「昨日ここで、参加した。ね、それで古泉くんどう?」
「僕としては、嬉しい限りです。しかし、少し言いにくいのですが」
古泉くんは苦笑いを浮かべ、少し考えたあとキョンの札を一枚引き場に捨てる。
「泉はレイクではなく、fountainですね。レイクは泉ではなく湖です」
私は古泉くんの説明に、少し震えながらキョンを見れば。
キョンは腹を抱え、口に手を当て笑いたそうにしていた。
バーカバーカ笑いたきゃ笑え!
(2007 05/18)