地球防衛軍、SOS団!

※パラレル要素あり。



 ――××××年
 人類はみな、機械に頼る生活となっていた。
 その世の中で生まれたのが《神人》と呼ばれる機械になれず処分されたものたち。
 《神人》は自我を持っており、人々に疎まれ、捨てられたことを根にもち次々と人々を襲いはじめた。
 そこで立ち上がったのが地球防衛軍、SOS団だった。
 彼らは時に美しく、時に《神人》の身となり説得をし人々を救いだした。
 これは、そんな彼らの活動記録である。多分。

「ちょっと、何書いてるのよ」
「あ、ハルヒ」

 私は先ほどまでペンを走らせていたノートを閉じ、座っている椅子を回し、ハルヒへと振り返る。

「何度言えばわかるのよ、ここでは私はハルヒじゃなくて」
「レッド、だよね」

 ハルヒは仁王立ちで、腕を組み私を見下ろす。

「そうよ、わかってるじゃない!」

 正直な話、ネーミングセンスを疑うが、そこは本人に黙っておこうと思う。
 さて、この涼宮ハルヒことレッドは冒頭で話した地球防衛軍、SOS団のリーダーである。

「それで、敵はまだなの?」
「レーダー反応なし、敵にだって都合があるんだよ」

きっと今頃ご飯を食べているのかもしれない。まったり待とう。

「それじゃあ、あたしたちの居る意味がないじゃない! もっとこう、毎日敵が必ず一体は来て、あたしたちが倒すのよ!」

 平和が一番だと思うんだが、そこらへんどうなんだハルヒさん。ちなみに敵はここら、一週間に来るかこないかだ。

「何よ、総司令官だって仕事が増えて万々歳でしょ?」
「その仕事をほとんど、だーれかさんに取られてるんですが」

 ハルヒは首をかしげ「誰よそんなことするの」と自分だとわかっていないようだ。
 その時だ、今まで反応を示さなかったレーダーに赤い点が現れ、けたたましくサイレンが鳴る。
 私は慌てて全員に召集をかけようと、トランシーバーを手に取るがすぐさま横から手が伸ばされそれは奪われてしまった。

「SOS団員全員に告ぐわ、今すぐS=OS161ルームに来なさい! 一秒でも遅れてみなさい、死刑だから!」

 ハルヒはひと思い言えば満足したのかトランシーバーを置き、映し出される画面を見上げる。てか、その部屋の名前初めて聞くんだが。この部屋ってそんな名前だったのか。

「敵は本基地より半径五メートル先に出現、能力なし、レベル、体力、精神、知能共に一。まあ今回も簡単に倒せるよ」
「なによ、もう少し強いの来ないのかしら」

 映し出された映像には、《神人》が腕を大きく振り上げ、ビルを壊す様が永遠と流れる。

『おい、ハルヒ』

 突然画面が変わり、現れたのは基地内のどこかの廊下に立ち尽くすキョンの姿。

「だから私はここではハルヒじゃなくてレッドよ! いい加減覚えなさい」

 ハルヒは画面に向け、手を振り上げ抗議すればキョンは頭に手をあてため息をつく。

『それでレッド、お前のさっきの放送はなんだ。場所が全くわからん』
「いつもの部屋だよ、キョン」

 私はインカムを身に付け、マイクを口元に当てキョンに告げればイヤホンを通じお礼が返ってくる。

「よかったらその曲がり角にみくるちゃんも居るから、一緒に連れてきてあげて」
『ふえぇん、どこですかここー』

 基地内の見取図に光る青とピンクの丸がぶつかりあい。画面を見上げればみくるちゃんが目元に手をあて、グスグスと泣きながら曲がり角からやって来た。

『朝比奈さん』
『あ、キョンくん。よかったわたし、道に迷って』

 みくるちゃんはキョンを見つけるや、心底ほっとしたのか息をつき。私たちと通信が繋がっていることが解るや肩を落とし身を縮めた。

『あ、あの、すみません』
「みくるちゃ……ピンク! 一体何年この仕事をしてたのよ!」

 みくるちゃんは素直に指折り数え、「ええっと」とキョンをみつめる。

「三ヶ月ちょいだよレッド」

 まだ何年もやっとらん。寧ろ年が付くまでこの仕事は長続きしないだろう。
 敵だってゴキブリじゃないんだ、繁殖がそんな大々的に行われてないだろう。

「とにかく、早くここに来なさい! こうしている間に、地球は壊滅的状態に陥るのよ!」

 陥らせているのはどこの誰だ。ハルヒは言うが早い、通信機を切り椅子に座りふんぞりかえる。
 それと同時に扉が開き、外からスマイルを浮かべる青年と、無表情少女が入ってきた。

「すみません、用事で出ており遅れました」
「…………」
「グリーン、ホワイト、遅いわよ!」

 ハルヒにグリーンと呼ばれた青年、古泉くんはすまなそうに頭を一度下げ、ホワイトと呼ばれた少女、有希は私へと数枚の紙を渡した。

「敵の現段階における弱点及び、体力数値、属性を割り出した」
「ありがとう有希」

 私はそれを参考にしながら、敵のパラメータを作っていく。
「す、すみません。遅くなりました……」

 その間にみくるちゃんが申し訳なさそうにパタパタと、キョンが呆れながらダラダラと部屋へとやって来た。

「これで全員揃ったわね! それじゃあ今日の敵について簡単に説明するわ」

 ハルヒは腰に手を当て、一列に並ぶSOS団の面々を眺めたのち。私の作ってコピーしたパラメータ表を横から取れば。一通り見て顔をあげる。

「なんてことないわ。三分も、ううん、三十秒あればすぐ片づくレベルよ」

 三分と三十秒ではえらい違いだぞハルヒさん。

「それじゃあ皆戦闘配置に着きなさい!」

 そのハルヒの号令に全員背筋を伸ばし、敬礼したのち一斉に私の方を見る。

「最後に総司令官、何か言うことはある?」
「え、うーん。そうだな、皆気をつけて行ってきてね」

 当たり障りない見送りの言葉を言えば皆口々に「行ってきます」と言い。戦闘機へと乗り、基地を飛び出していった。
 こんな団で地球が守れているなんて、もし地球上の人がSOS団の素性をしったら心配で任せれないだろう。
 私は回る椅子を、皆が去っていったドアからコンピュータへと戻し、皆の行動を追跡する。
 敵は一体、さあ勝負の始まりだ。

(2007 09/09)
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