夏休みロンリネス

「キョン、私たちの学校夏休みが三十一日まであってよかったね!」
「やぶからぼうに、なんだ」

 私は夏休みの終わり間際、キョンの家へと行きキョンの部屋へ我が物顔で入れば。ベッドでくつろいでいたキョンは、漫画雑誌のページを捲りながら肩越しに私へと振り返る。

「友達の学校、三十日から学校なんだってよ。夏休みは普通三十一日まででしょ?」
「学校の事情だろ」

 キョンは面倒くさそうに、漫画雑誌に顔を戻せば、またページを捲り。私はその様子が面白くなく、ベッドに転がるキョンの腰に覆い被さる。

「キョン、もう少し話題に食いついてくれよ。話してる私が寂しいじゃん」

 それでも軽くあしらうキョンに、私はペシペシと身体を叩く。

「古泉くんは食い付いてくれたのにな」
「なんで、そこで古泉が出てくるんだ」

 キョンは身体を起こし、私もそれに合わせ身体を起こせば。眉間に皺を寄せているキョンの姿があり、私はなぜキョンが機嫌悪くなるのか不思議に思うばかりだった。

「え、だって私、キョンがお母さんの実家に帰ってる時に古泉くんと遊んだから」

 キョンが親の実家に帰った時、それはそれは暇だった。いつもならキョンと遊ぶため、家に今日のように行っていたが。この八月頭の数日は暇のあまりほとんど宿題が終わったぐらいだ。

「そんな時にね、古泉くんから遊びの電話かかってきてさ」

 遊園地に行きませんか? 知り合いからチケットを二枚貰ったんですが、と誘われ。私は二つ返事でそれに乗り、古泉くんと遊園地に行ったのだ。

「楽しかったよー」
「そうかい」
「でも今度は皆で行きたいな。だって何か途中カップルに見られたりして恥ずかしくて死にそうになったよ」

 私は思い返し、恥ずかしさに熱る顔を手で扇ぎキョンを見上げる。

「キョンも、行こうね。約束だよ」

 変わらず、眉間に皺を寄せるキョンの小指を取り指切りをする。すると、キョンの眉間が少し緩みほんのり笑みが見えた。

「と、いうことで眠いので寝ます!」

 左手をピシッと上げれば、キョンに押し倒すように抱きつき。キョンは「うおっ」と悲鳴を上げ後ろからベッドへと寝転がる。

「だから、お前はどうしてそう唐突なんだ」

 キョンは髪をかき上げ、ため息をつけば、私はあいているその腕に頭を乗せ「キョンだから出来ることなんだよ」と、窓から入る夏の風を身体に受けながら目をつむり。セミの声を聞きながら、眠りへとつく。夏のある日だった。
 次に起きた時に、妹ちゃんも一緒に寝ていたのは、また別のお話。
(2007 07/20)
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