湿布

 痛い所に貼るとたちまちそこを冷やし、冷たさに身震いをしてしまいそうだ。

「あー生き返る」
「お前は年寄りか」

 学校の休み時間、辺りはクラスメートの喋り声でザワザワとしていた。
 手刀で私の頭を軽く叩くカッちゃんに。私は机に顔を半分伏せたまま、視線だけ向けた。

「ひっどいなー、こんなピチピチな年寄りがどこにいる!」

 体を起こし、胸を叩くとカッちゃんは私を指差し「そこにいる」とあっさりと言った。

「カッちゃん、君も湿布の魅力が分かれば絶対に言うって」

 私はカッちゃんの背中を軽く何度か叩くとカッちゃんは声を上げ笑い。

「わかりたくねー」

 そう、首を横に振り答えた。
 私は腕を回し、こっている肩を擦っていると腕を回すと同時にコキッと肩が鳴り。擦ると、擦った箇所はこりが一瞬だが引いていく錯覚におちた。

「あー、冷湿布もいいけどやっぱり冬は温湿布だよね」
「お前、本当ばあちゃん臭いな」

 未だに肩を回す私に、カッちゃんは呆れ気味に言い。
 私は「湿布臭いといいたまえ」とおどけるとカッちゃんは「湿布臭い」と鼻を摘みながら笑った。

「亘ー。カッちゃんが酷いの」
「な、亘。俺はあいつが言ったから、だから言っただけだからな!」

 私は、亘のもとへ走り寄り、両手を広げて抱きしめようとすると鼻を摘まれ。
 ただ一言「湿布臭い」と言われた。
 後ろを向くとカッちゃんが勝ち誇った顔で立っており。私は少し、悔しい気持ちになった。

(2006 11/02)
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