似た漢字

「侍ってさ」
「うん」

 私が公園のベンチに座り、ココアの入った缶のプルタブに指をかけ開ける。
 プシュっと空気が抜ける音ともに湯気と甘い匂いが立ち上る。
 宮原は手に持っていた飲みかけのポカリを一口、口に含む。

「待つに似てない?」

 何気なく言ったその一言に宮原は飲み込みそこねたポカリを盛大に吹き出し。
 少し咳き込みつつも、口に手をあて笑った。

「お前、頭大丈夫?」
「いや、宮原こそ大丈夫?」

 私はフーと缶の口に息を吹き込むと、立ち上る湯気はゆらゆらと揺れ、宮原はもう一口飲むと「そうだな」としゃがみこみ木の枝を広い地面に「侍」と「待」を書いた。

「確かに似てるけど、それがどうかした?」
「いや、ただ何となく思っただけ」

 ズズッと口にココアを流し込めば、口全体に甘い味が広がり私は自然と頬が緩むのを感じた。

(2006 11/04)
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -