第十三話

お祭りとはー人を楽しませるものであり

「けして迷子になるためのものじゃないんだよね…」



*都会へ行こう!*



目の前にはがやがやと賑わう店
通り道には浴衣を着た女の子達
時たま手を繋いで幸せそうにしているカップル
いいねー若いって


「ってやってる場合じゃない」


私は林檎あめを片手に辺りを見回しながら英士達を探した
なぜ迷子になったのか…振り返ること数時間前




「よっ!お待たせ」

「ごめんねもしかして私達最後?」


私と結人はあのあとお姉さんからの「可愛い攻撃」を避け時間に間に合うように待ち合わせ場所であるひまわり喫茶に来た
しかしそこには既に英士と潤慶、一馬が座っていて私達が最後だった


「いいよそんなに待ってないし。それに…」

「明里可愛い!!」

「はぃ!?」


私は突然潤に抱きつかれ後ろに倒れそうになったが踏ん張り英士の方を見ると「この通りだし」と言った
この通りって何ですかー?

ひとまず私は潤を引き離すと一馬の横に座り紅茶を頼んだ
ふと一馬の方を見ると何か言いたげにオロオロモジモジしていた


「一馬どうかしたの?」


私は気になり一馬に声をかけると一馬は顔を真っ赤にさせながら何か一生懸命言おうとしていた


「そのあの…明里のその浴衣似合っ」

「アイスミルクティーお待たせしましたー」


一馬がちょうどよく何かを言った時店員が来てアイスミルクティーを持ってきてくれた

私は聞き取れなかったので「もう一度言ってくれる?」と言ったら
一馬は苦笑いして「別にもういい」といいりんごジュースを飲みはじめた
暫く皆と話をしていると英士が突然立ち上がり


「それじゃあ行こうかそろそろ夜店も開いてるだろうし」


と言うとお金を置きマスターに「ごちそうさまでした」と言いお店を出ていった

結人達も立ち上がりお金を払うと外に出ていき
私も後を追おうとお金を払うとマスターは私を呼びとめ店の奥からりんごあめを一つ持ってきて私に「特別に」と言い渡してくれた

私は嬉しくなりありがとうございますと言うと「お祭り楽しんできてね」と言い見送ってくれた

「見てみてーマスターに貰った」


私は自慢したくてしかたなくて皆に見せると皆はまるで子供をあやすような感じに「よかったねー」と言ってきた
それが少しムカついて林檎あめのてっぺんをかじってやった





「うわっすっごい人」


祭会場につくとそこは人の群れだった
どこを見ても人だらけで少し気分が悪くなった
これを人に酔うっていうのか


「危ないから一人行動するなよー」

「危ないってもう子供じゃないでーす」

「そう言ってる奴に限って迷子になるんだぜ?」


結人はそういうと意地悪く笑った
私は「迷子に何か絶対ならないんだから」と言ったが少し人に呑まれかけた
私ははぐれないように前をみてると突然何処からか子供の声が聞こえた

私は気になり辺りを見てると少し離れた所に大きな声をあげ子供が泣いていたのを見つけた
駆け寄って話を聞くとお母さんと離れたようだった

私は子供にお母さんが見付けやすいように肩車をすると
案外早くに見つかった
そのあと子供と別れ良いことをしたなーと思い辺りをみると

見事に英士達とはぐれたのであるそして今にいたる


「はぁ…何が悲しくてこの年で迷子だ」


私はひとまず人混みに紛れ英士達を探すことにした
案外人混みとは見つけやすいもの…と思ったが
しかしそう簡単に見つかるものじゃなくて


「何か神社に来たぞー」


気づけば奥のほうにまできていた
神社には少し人が居るぐらいでお参りをしてまた人混みに戻っていく人ばかりであった
私は歩き疲れたので近くにある石に座ろうと思い歩き出すと
少し段差があり見事につまずき鼻緒がきれてしまった


「どうしよう…」


それは結人のお姉さんからの借り物で壊してしまった悲しさと迷子になり一人の心細さに涙が出かけた

「お嬢さんどうかしたのかね?」

「…神主さん?」


私が蹲っているとそれを見て心配してくれたのか神主さんが側に立っていた

神主さんは切れた鼻緒を見て「これくらいなら直せるよ」といい器用に慣れた手つきで直した

それはあまり見慣れない私からすると神業に近くて思わず拍手をした
すると神主さんは少し照れながら直った下駄を私の足に履かせてくれた


「お嬢さん一人で祭りに来たのかい?」

「あっいえ友達と来たのですが少しはぐれてしまい…」


私は持っていた林檎あめが無事か見ていると神主さんは優しく笑った


「それならばここに来てよかったのぅ」

「えっ?」

「実はなここは祭の本部での迷子の放送がかけれるぞ」


そういうと神主さんは何処かへ行こうとしていて私は急いでそれを止めた


「いっいえ迷子の放送はこの年で恥ずかしいので…」

「しかし、何時までたってもみつからんぞ?」

「そっそうですが…」


私は少し困りうろたえていると遠くから「じいちゃん!」と神主さんを呼ぶ声が聞こえた
神主さんはその声に答えるかのように「一馬ここじゃー」と声を張り上げた
えっ…一馬?


「一馬って…」

「なんじゃ?一馬を知っておるのか?」

「いやあの…」


私がまたオロオロしているといつの間にか一馬は目の前にきていて
一馬は私を見ると少し焦っていた顔がほっとした顔になった
私は申し訳なく少し落ち込み、気になることを聞いてみた


「一馬どうしてここに?」

「本部なら人の波に乗ればつけるからもしかしてと思って…」


そういうと一馬は神主さんと話し、話し終ると「また来てのー」と神主さんはいいその場を離れた

「一馬ってあの神主さんと知り合い?」


私は気になり聞くと一馬は少し困った顔をして「時々ここの手伝い任されるんだ」と言った


「それより明里あれほど結人が迷子になるなって言ったのに…」

「ごめん…みんなに心配かけたよね」

「当たり前だろ…ってかあの英士がこーんな怖い顔してお前探してたんだぜ?」


そういうと一馬は自分の目をつり上げたりしておかしな顔をした
私は思わず吹き出してしまい笑いが止まらなくなった

一馬は恥ずかしそうに頬をかき私に手を差しだし「行くぞ」と言った

私はその手をとり立ち上がろうとしたが足を転んだ時くじいたらしく立てなくてまた座りこんでしまった

それを見た一馬は私に背中に乗るようにいい、しゃがんで乗りやすいようにしてくれた
それがまた朝の出来事みたいで笑ってしまった


私は一馬に甘え背中に乗ると一馬はよろめきもせず立ち上がったそれが何とも男らしくてヘタレてない一馬を初めて見たような気がした


「一馬」


私は林檎あめをくるくる回し一馬に話しかけると一馬は「んー?」とやる気のない声が返ってきた


「一馬あのさ、ありがとう」


周りの人の声で聞こえるかわからないほどの音量で私はそういうと一馬は聞こえたのか耳まで真っ赤にして小さな声で


「浴衣…似合ってるってさっき言いたかったんだ」


と言いまた耳を真っ赤にした
私はそれがたまらなく愛しくて


「ありがとう、一馬」


ともう一度いい一馬の肩に顔を埋め林檎あめが一馬の服に当たらないようにした
暫く無言で歩いていると突然一馬が声をあげた


「明里顔あげろよ」

「えっ?」


私は一馬に声をかけられ顔をあげると夜空一面に花が咲き、遅れて破裂音がした
続けてまた一つまた一つと花火は夜空を彩った


「綺麗…」

「また…来年もこような」

「うん」


私と一馬は暫く空だけをみてまた歩きだした
周りからは歓声が聞こえ、人は足を止め空を眺めていた

私は空を見つつ前を見ると遠くのほうで手を振っている結人が見え私も手をふりそれに応えた



未だなりやまぬ花火はもうすぐ夜空に溶けて消え

祭りは一夜にして終る

あとがき

今回の目標一馬を目立たせよう!
って目立ちすぎじゃ!!
一馬夢か!?(えぇ)

そんなこんなな十三話
まだ夏が終りません
あと二、三話ぐらいかな…
まだまだ書きたいネタがあり先に進まないよコンチクショー(笑)

ひとまず祭は一話で終わらせました(無理があるよー)
後日とか書きたいな
ってあとがきじゃないよこれ(笑)

最後に誤字・脱字がありましたら申し付けください


2006 02/03

[ 14/19 ]

[始] [終]
[表紙へ]

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -