第十一話

朝のジョギングは毎日の日課です
あー朝はまだ涼しいな



*都会へ行こう!*



「おいっちにっさんし」


腕をまわしてー


「ごーろくしちはち」


私は走る前の準備運動をして玄関のドアを見て今か今かと英士を待った
暫くするとドアが開き英士が出てきた


「ごめん、靴に手間取って」

「大丈夫大丈夫!ほら早く走りに行こ!」


私は英士の腕をとり走り出した

空は日が出てうっすらと明るかった


「おはよーございます」


私は玄関を掃除しているおばあさんに会い挨拶をするとおばあさんは少し驚きそのあとにっこりと笑い「おはよう」と返してくれた


「ねぇねぇ英士聞いた?おばあさんおはようって返してくれたよ」


私は少し前を走る英士に話かけると英士は特に興味無さそうに「よかったね」と言っただけでまた黙々と走り始めた


「ねー少しは話ながら走ろうよ」


英士と並ぶよう私は走る速度を速め隣を見ると英士の息は微妙にあがっていた


「もう疲れた?」

「まさか」

「息づかい荒いよ?」


私がそう言うと英士は黙り込み速度をあげ私はまた英士の背中を見る位置になった


「負けず嫌いめ」


私が小声でそう言うと英士に聞こえたのか走る速度を更に速めかなりの距離ができた

私は呆れながら英士の背中を見て前からくる新聞配達をしている人に挨拶をして一旦止まりその場で足踏みをした


「水無瀬明里を舐めんなよ」


私は足踏みをして利き足が地面から離れ次に地面につく前に一歩前に踏み出し走りだした

走るとすぐに英士に追いつき英士の顔を見ると一瞬驚いた顔をしたがすぐに真剣な顔になりさらに速く走った

私は英士に聞こえるぐらいの声で「先に公園についたほうの勝ち!ジュース奢ること」と言い走ることに専念した
暫く走ると目の前に公園が見え私は全速力で走ろうとしたが
久しぶりのせいか足が痙攣しもつれバランスがとれなくなり顔から転びそうになったが
山育ちのおかげかすぐに体制を立て直せ背中から転んだ


「いってー」


顔から痩けなくてすんだが背中は背中で痛かった

少し後ろで走っていた英士が私が痩けたのを見たのか直ぐに駆けつけてくれ「大丈夫?」と言い私が体を起こすのを手伝ってくれた


「大丈夫…と言いたいけどやっぱり痛い…」

「そりゃ背中から痩ければ痛いでしょ」

「でもすぐ治るよ結構丈夫に出来てるし体」


私は立ち上がり「ほらこのとうりー」と言い体を動かしたが英士は凄く怖い顔をして私の手をとるとベンチに連れていき無理矢理座らされ「ここで待っとくこと」と言い水道のほうにいった

その時英士のポケットから何か光る物が落ち気になり拾いにいくとそれは小さな花形の綺麗なブローチだった


「…これ何処かでみたことあるような…」


私はブローチを拾いあげまじまじと見てると英士の足音が近づいてきた私はとっさにブローチを自分のポケットに入れてしまった


「明里何隠したの?」

「ひゃっ百円玉」

「よかったね」

「おっおうベリベリラッキーだよ」


私は冷や汗を垂らしながらピースをすると英士は呆れた顔をして私をまたベンチに座らせハンカチを濡らしたものを私に渡してきた


「これで痛い所冷やしといて一応応急処置」

「あっありがとう」


私は言われた通り背中の痛い部分を冷やすとさっきまで痛かったのが冷たさで解らなくなった
「はー冷たいー気持いー濡れて変な感じ」


私が冷たさに浸っていると英士は二つのポカリを持ってきて「勝ったから奢り」と言い私に渡してきた


「いやいや私痩けたから無しでいいよ」

「負けは負け」

「でも…」

「どうせ今、明里お金持ってないでしょ」

「うぐっ…」

「だから奢り」


私は渋々缶を開け飲むと英士はそれでよしって感じに笑い自分の分を開け飲みはじめた

私が飲み終えると英士は私から空き缶を奪い捨てにいってくれた
なんと優しい人だ…私なら自分の分だけ捨てるのに


「ありがとう」


そう私が言うと英士は


「どういたしまして」


と優しい笑顔でいってくれその笑顔に顔が熱くなるのを感じまた心臓がドキドキして変な気持ちになった

英士はまだベンチに座ってる私の目の前に後ろ向きにしゃがみ背中に乗るよう促した


「いっいいよ!!もう痛くないしそれにそこまで迷惑掛けるわけにいかないし」

「いいから乗りなよ」


私が断固拒否してても英士は一向にやめる気配が無く私は諦めて英士の背中に乗った


「重くない?辛くないってかやっぱりおりたい」

「重くない辛くもない家まで降ろさないから」


私はそう言われ本当に諦め空を見上げると空は青く腕につけていた時計を見ると六時半だった



英士は本当に家まで降ろさなくて家についた途端庭に水を撒いていたえりちゃんママに驚かれた


「明里ちゃんどうかしたの?まさか英士に何かされたの?」

「いや特に何もってか私の不注意だし痩けたのは…」

「痩けたの?何処か痛くない?大丈夫?」

「あっ大丈夫です。ってかえりちゃんママお鍋噴いてますよ」


私は庭からお鍋が噴いてるのが見え、えりちゃんママに言うと「あらあら大変」とあまり大変そうに思えない声で部屋に入っていった


そのあと私は部屋に戻り着替え潤を起こしリビングに行きお皿に盛り付けられた朝ごはんを運び皆で朝ごはんを食べた


食べ終わり後片付けをした後英士に呼ばれシップを貼ることになった


「私シップの匂い苦手なんだけどな…」

「文句言わない背中出して」

「はいはーい」


私は言われた通り背中を出し背を曲げる時に少し痛かったが英士はすぐにシップを貼ってくれて「はい終わり」と痛くないとこを叩き終わったことを知らせてくれた


「あーひやっこいなー」


私は腕を回し他は痛くないか調べてると電話が鳴り英士が出たかと思えば「明里に電話、結人から」と言い私に受話器を渡した


「あーもしもし?お電話かわりました」

『あっ明里?』

「うんそうだけど、どうかした?」

『今日夏祭りの日ってこと忘れたのかよ』

「いや忘れてないけど…宿題は?」

『終わった』

「嘘だー」


私はまさかと思い結人に言うと結人は電話の向こうでも分かるくらい嬉しそうな声で「本当」と言った
絶対電話の向こうではピースしてるな


『だから約束どうり』

「わかってる、何時くらいに行けばいい?」

『お昼過ぎ一時半ぐらい』

「わかった」

私は「じゃまた後で」と言うと受話器を置き英士の所へ行った


「英士ー結人の家までの地図教えてー」

あとがき

今回会話で最後終わらせてしまったよ(笑)

さてさて夏祭りきましたー!
ってかまたヒロイン英士に一歩前進しちゃいましたね(何)

英士が落としたブローチは英士の趣味じゃありません
趣味だったら笑いたい(笑)

しかしお互い意識し始めるのはまだまだ先かなー
だって普通に背中見せたし
何か兄妹って感じだ(笑)


最後に誤字・脱字がありましたら申し付けください


桜条
2006 01/09

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