第十話

夏休みーそれは学生にとって天国のような地獄である



*都会へ行こう!*



「それを決めるのは…君たち次第なんだよ」


私は目の前に積まれた紙の山とノートを見て思わず溜め息をつき中を少し見てみた


「真っ白じゃん…結人これは今日中には終わらないよ?」


そう今、実はいうと結人の家に遊びに来ています
皆残りの宿題を終らすためにそれぞれ宿題を持ってきてやろうと言うことになったんだけど……

あきらかに結人のだけ宿題の量が多かった


「だってよー最初は遊びたいだろ?」
「その甘えが命とり」
「おっ一馬それうまい!ちょっと潤座布団一枚!」
「笑点かよ!!」


私は結人にビシッとツッコまれ私は潤が持ってきた座布団を結人に投げつけた

結人は「いってー」と声を漏らすと私が投げつけた座布団を今度は一馬に投げつけ一馬はそれを結人の方にまた投げつけた…と思いきや結人は避け後ろに座っていた英士にぶつかった


「やべっ…」

「えっ英士これはその結人が悪くて俺結人に投げたつもりで…とにかく結人も謝れ」

「何で俺だけなんだよ一番最初にしたのは明里だろ」

「何で私が出てくるの確かに最初は私だけど…でも結人が私に投げずに一馬に投げたのが悪い!!」


いつの間にか「いーや違う一馬だー」とか「明里が座布団持って来なければ」とか言い合いになり勉強どころじゃなくなった

十分ほどたち未だ言い合いっているとバンッと机を勢いよく叩いた音がした
私たちはその音がした方向を見ると今にも切れそうな英士がいた

多分この中で一番怖いのは英士だと私は思う…
「…ひとまず謝るのが先でしょ?」

「すっすみませんでした」


私たち三人は揃って頭を下げ謝ると英士は溜め息をつき座布団を拾うと私に渡してきた


「ひとまず明里は座布団投げるのをしないこと」

「はい…」

「結人は後先を考えること」

「おー」

「一馬はそれに乗らないこと」

「ん…」

英士は私たち三人にそれぞれ説教をしたあと自分が持ってきた宿題をやりはじめた
その様子をさっきまで眺めていただけの潤が「何かお母さんに怒られた子どもみたいだね」と言い
私は「英士がお母さん?うわー似合ってるかも」と思ったがあえて言わないことにした

いったら後が怖いからね


その後皆はそれぞれに宿題をやり始め私は皆の様子を眺めていたら英士はそれに気づいたらしくこっちをみてきた


「明里は宿題どうしたの?」

「終わった後は日記だけなんだー」

私はいいだろーって感じにブイサインをすると
それを聞いた結人は手を止め私に宿題の一部を渡してきたが私はすぐにそれを押し戻した


「…結人自分のは自分でやらなきゃだめですよー」

「一生のお願い!頼む!!」


結人は机にでこがつくほど頭を下げてきた私は仕方なく宿題の一部をやることにしたが


「ごめん結人ここまだやってない…」

「えーならよこっちの理科は?」

「知らないよテコなんて…」


私は宿題の大半を見たがどれも習ってなかったり中途半端に習ってるやつばかりだった
それを聞いた結人はがっかりしたように顔をうつ伏せそれが何だか犬のムサシが落ち込んでるように見え何とか力になりたくて
結局数学を手伝う事になった


「って事で英士先生公式教えてくださいー」

「何で俺なの」

「一番解りやすく教えてくれそうだから」


私がそう言うと英士は確かにといった顔をした自分で思うなよ自分で
その後英士は私がわかるまで教えてくれて結人の宿題が一つ無くなった


「英士ありがとうこれで新学期も皆に遅れないですみそう」

「また何かわからなかったら聞いてくれていいから」

「うん」


そういえばあの日から初めてまともに話したかも…
そうあの日何か変な気持になって…リンゴジュース温くなって
そのー胸がこうドキドキしてドキドキ…ドキドキ


「だぁーもうわけ解んないー!!」

私は机に一度頭をぶつけ頭を冷やそうとしたが逆にどんどんその事を考えてしまい結人の「明里が一番意味解んねーよ」っていうツッコミにも逆ツッコミ出来なくて


「明里大丈夫?」


そう言って顔を除きこんできた潤の顔が英士に見えて


「のわっ」


私は思わず飛び退いたすると手首を変にスナップを効かせてしまったのかどんどん後ろに倒れていった

やばい…後ろって結人の宿題の山…

そう思ったのも既に遅くて見事に紙の中にダイブしました


「うわっ明里何やってんだよ」

「すんません…」


もう二度とあの事は考えないでおこう…
私は宿題を集めまた元に戻そうとした時ふと結人の絵日記に目がいった


「へーこっちでも絵日記あるんだ」

「ちょっ明里見るな返せ」

「無理みてやる」


私は結人の手から逃れ中をあけると既に8月31日まで書き上げていた


「うわー何これ…」

「未来日記」

「いや未来過ぎるだろ」


絵日記もとい未来日記を捲っていくと一ページだけ色が鮮やかな絵が出てきた


「花火大会…?」
私が声に出し読むと結人が目を輝かせ「それ今度皆で行こうと思ってよ。明里も行こうぜ」と嬉しそうに言ってきた


「行きたいけど浴衣持って…」

「家にあるの貸す」


私が浴衣持ってないと言う前に結人は言ってきた


「着方わかん…」
「姉ちゃんがやる」

「髪型だって…」
「俺がやる」


私が次々に無理なことを言うと結人は「俺がやる」やら「姉ちゃんがやる」だの…
これは強制参加?いやいいんだけどさ

私は悩んだ末「わかった行く」と言うと結人は嬉しそうに笑った犬で例えるならば尻尾を振り回し出るだろうな


「…ただし」

「ただし?」

「宿題終らせたら」

私がそう言うとさっきまで嬉しそうな顔が一瞬にしてえーっと言いそうな顔になった
何かそれがまた何か犬のムサシに見えて思わず


「私も解るとこは手伝うから」


と言ってしまった
我ながら結人には甘いと思う





夏最後の夏祭り
それが終ると秋が来る
そんな事を思う今日この頃
あとがき


やはり最後の言葉を考えるのが大変です

えっとひょんな所から始まりました
でも一応つながってるのわかりますでしょうか?

あの後結局特に何もなく一日が過ぎたのです

そして今日にいたります


今回の副課題は結人と一馬を出そうでした
…ごめん一馬
いつか君だけしか出ないやつ作るから……多分


何故か一人キャラが出るともう一人影薄くなるのは何ででしょう…


さていよいよ夏も終わりかけてます
夏が終ると新学期

新学期かー学園物語だな(何)


最後に誤字・脱字がありましたら申し付けください


桜条
2005 12/30

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