15話ー1
夜、私は中庭のベンチに座り葉留佳にもらったジュースを手の内で転がしながら、私は二木さんの言葉を思い出していた。
隠し事、仲良しゴッコ、そしてなにより私に言った「あなたも双子なのね」という言葉。
仮にだ。二木さんも双子だとしたら、その片割れは同じ学校にいるのかそれともよその学校にいるのだろうか。
そして私たちの関係を見て、「羨ましい」と無意識のうちに呟いたであろう言葉、きっと居たとしたら不仲なのだろう。
じゃあなぜ不仲なのか。そんなのいろんな考えが浮かぶ、結局は双子とは言え他人も当然だそれは馬があわないこともあるだろう。
だけどそれ以外の何か、きっと隠し事が関係するのではないだろうか。
わざわざ言ってきた言葉だ、私たちのことを心配して忠告したなんてことはないのだろうが、きっと何か意図があって言ったに違いない。
でもその意図は?
考えれば考えるほど深い溝にはまっていくように、疑問は増えていく。
結局は本人に聞く以外に解決の手段はないのだ。
ジュースのプルタブを開けると缶から空気の抜けるいい音がした。
口をつけ、傾けるとどろりと口に入ってくる感触に思わず口を離し缶をみた。
そこには「どろり濃厚ピーチ」とポップな文字で書かれており、その横には「濃厚さ120%増量」なんて書かれている。
紙パックのは知っていたが、きっと濃厚すぎて吸えないと踏んだのだろうついには缶に進出していたのか。
まるでこんにゃくゼリーとウィンダインゼリーの間の触感のようだ。噛めるけど口の中でほろほろとほぐれていき増量する。
美味しいけどお腹にたまりそうだ。
「理緒?」
口の中でもぐもぐとジュースを噛み砕いていると声をかけられ、顔を上げるとそこには理樹がいた。
夜中に私が出歩いてるのが珍しかったのだろう、目を見開きこちらを見ていた理樹に私は軽く手を振る。
「理緒も眠れなかったの?」
理樹の問いかけに頷く。口の中をいまだジュースが占領しており口が開けないからいたしかたない。
理樹の手にも缶が握られており、ラベルには「コーヒー」と書かれていた。
寝付けない夜にそんなもの飲んだらもっと寝れなくなるんじゃないか? なんて思いもしたが横に座りコーヒーを飲んでほっと息をつく理樹に何も言えなかった。
「そういえば」
やっと飲み込めたジュースに私は軽く息をつき理樹へ振り返る。
「今日風紀委員長に会ったよ」
「風紀委員長って二木さん?」
頷く理樹の顔が険しくなったのが見えた。
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