7/31「Barbenheimerについて」
2023/07/31 15:46

時間割を見て見たところ、今日は復職支援プログラムは月末の振り返りの卒業式みたいな日で、私はまだ通いたてなので恐らく大半知らない話だと思うので休むことにした。

以下は日記ではなく、思っていることをまとめた。

TwitterではBarbenheimerが話題になっている。
元々は、オッペンハイマーというクリストファー・ノーラン監督の映画最新作と、映画バービーをハシゴして観る…みたいなミームだ。
日本のオタクでいうところの交互浴で、シリアスな映画と、明るくエンパワメントな映画を両方観て変な気分になろうぜくらいのノリで始まったんだろう。
バービーは言わずもがな公開前から話題に暇のない作品だったし、ノーラン映画の新作も勿論期待値の高い作品だったと思う。その2本が同日公開だったためにこのミームは誕生したらしい。

そこまではいいとして、このオッペンハイマーはタイトルの通り原爆を作った人を題材にした作品だ。
そんなこともあって、7月21日に公開されたノーラン作品だというのに日本公開は未だに未定。日本の配給会社的にもこの題材や内容を日本で公開することに思うところがあったんだろうことが読み取れる。

そんな中、海外ではBarbenheimerブームが到来。
2作一緒に見てきたよ!というミームを超えて、原爆のきのこ雲をピンクにしたファンアートなどが投稿されるようになりたちまち日本で問題視されるようになった。
しかしこれは海外の一部映画ファンのナンセンスな二次創作で、公式ではないから安心して!というようなネットニュースにまでなり一時は溜飲を下げたように思われた。

けれど、最近になって海外の映画バービー公式アカウントがBarbenheimerのナンセンスな二次創作を肯定するとも取れるようなリプライを飛ばしていたことがわかり、Twitterがまた荒れに荒れている。
特に大爆発をバックに笑顔のバービーとオッペンハイマーのファンアートへ「It's going to be a summer to remember」なんてリプライをしているものだから、日本の一部の人たちは怒りに怒っている。

今Barbenheimerを面白がっているような海外の人たちが原爆についてどう思っているか。それはよくわからない。
けれどバービー公式に関しては完全に「やっちまった感」がある。ダウン症のバービーが発売されたことは記憶に新しいけれど、結局その程度の配慮意識なんだ…という、なんというか、しょーもな…感が出てしまったのは否めない。
オッペンハイマー側の公式に関してはだんまりだが、正直反戦映画ではないようだし、ノーランの作品に変な付加を与えるような事をこれ以上しないためにも無言を貫くのが正しいように思う。

アトミック・カフェという映画がある。
原爆投下当時の映像を編集したドキュメンタリー映画で、一切のナレーションがない。
代わりに映画の中では「Atomic」を題材にした当時のラブソングなんかが流れている。

当時にしてみれば、原爆はとにかく威力がすごい爆弾としか思われていなかった…のかもしれない。とにかく兵士や一般人に向けたプロパガンダではそうとしか伝えられていなかった。
そのため、Atomicは当時ポジティブな言葉としてポップに使用されていた。ラブソングにだってなるし、タイトルにもなっているアトミック・カフェなんてものもできたらしい。
とにかく当時の流行語、今のネットでいうミームになったようだ。

そんな認識なものだから、作中の兵士の訓練では被曝は特に問題がないものとして指示されている。
原爆を使用する際の作戦はこうだ。
原爆を落とす、周辺に待機している兵士が原爆投下の中心地へ向かい、残党を殺す。
具合が悪くなる時もあるけど休めば治る、みたいなことまで言う。結局その作戦の訓練兵(アトミック・ソルジャーたち)はその後放射線障害に侵される。

この映画はプロパガンダの恐ろしさだとか、当時のアメリカ自身すら原爆投下後にどれだけの被害が残り続けるのかを知らずにやっていたのか…という記録を見ることが出来る。

戦争に終止符を打った英雄!なんかすごい兵器!と浮かれているが、その後日本に起こった汚染や被曝の問題の情報がアメリカに伝わり、もしかしてこれってヤバいやつなのか…?みたいなシラケがおきてAtomicはポジティブな言葉ではなくなり、結局のところ冷戦の激化で自分事になるかもとなるとこぞって核シェルターを用意するに至る。

イギリスのアニメ映画の「風が吹くとき」もそうだけど、そういった当時の認識の甘さや核の恐ろしさを描いた反戦作品は海外にもたくさんある。
アトミック・カフェは特に日本では反戦、反核として大きな意味を持っていて音楽フェスやトークショーなんかでもこのタイトルを引用したイベントを行っている。初期には尾崎豊なんかも参加している。
どちらかというと最近は反原発的なイメージに寄ってしまっている印象だが…。

結局のところ、今の海外の若者(Barbenheimerの悪いミームを楽しんでいる層がどの年代なのかもわからないが)が戦争教育において原爆をどのように説明されているのか分からないのにそれらの人たちの意識を責めるのもまた一面しか見ていないように思う。
私の受けた日本の戦争教育も反戦のためとはいえ日本の受けた被害を強調するばかりで加害性をかなり省略しているように感じたし。

それと同時に、日本人の一部の人が怒りを感じるのは当然だと私は感じるし、それを表明することもおかしくはないと思う。

イギリスのスナク首相がBarbenheimerのタグをつけて映画を観た報告をしていることに関して怒っている人もいるけれど、Barbenheimerの元々のニュアンスは「この2作見てきたよ」でしかないので主旨からズレているように思う。

火に油を注いだバービー公式は、バービーというコンテンツのスタンスとしても何かしらのアクションを起こすべきだと思う。
私は映画バービーを日本公開初日に観る予定で楽しみにしていたので今回の件はがっかりだ。けれど、海外にも反戦、反核…というか原爆の恐ろしさを描く作品はたくさんあるし、もうそういう作品をリバイバル上映してそっちにハシゴしてくれよ、と思う。これは日本人的な偏った発想なので実現しなくて結構だけど。


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